東雲の湾岸タワマン繁栄で「キャベツも買えない」団地の旧住人たちが発生したワケ 「フード・デザート現象」起きる街で見えた30年後の光景
周辺をうろついた時間帯は、小学校の下校時間と重なっていた。辰巳地区にある江東区立第二辰巳小学校の子どもたちのグループが、橋を渡って東雲地区に向かっていた。小さな体が風に吹き飛ばされそうである。
長い橋を渡りきると、風はさらに強くなった。いわゆるビル風というものらしい。建ち並ぶタワマンの谷間では頻繁に起こる現象だ。
子どもたちは慣れているのか、キャーキャー騒ぎながら風を楽しんでいるように見えた。

この場所は、江東区の東雲地区と辰巳地区が辰巳運河を隔てて向かい合わせになっている。
運河に沿ってそびえる東雲のタワマン群の多くは「第二辰巳小学校」の校区だ。そこに住む子どもたちは、橋を渡って辰巳地区にある小学校に通う。
辰巳地区にはもうひとつ「辰巳小学校」がある。2つの小学校について比べてみる。
タワマン地区、団地地区で生徒数は大きく異なる
第二辰巳小学校の校区は、辰巳1丁目の一部と、橋を渡った先にある東雲1丁目の主にタワマンが建ち並ぶ地域だ。一方、辰巳小学校の校区は辰巳1丁目の一部と、2丁目、3丁目である。面積からいうと、辰巳小学校のほうが第二辰巳小学校よりずっと広い。
ただし、生徒数は逆転する。
タワマン群を校区に持つ第二辰巳小学校の児童数は784人。対して、古い団地が建ち並ぶ辰巳地区の多くを校区とする辰巳小学校の児童数は290人だ。およそ2.7倍の差がある。(児童数は令和6年度の数字)

無料会員登録はこちら
ログインはこちら