《性的広告停止》で終わりではない!ネット広告「無法地帯化」で業界と広告主が向き合うべき大問題
読者にとって不愉快なだけでなく、メディアにとっては質をおとしめ、広告主にとってはブランドを損なう。それなのに、メディアやアドネットワーク事業者、代理店そして広告主も無頓着だ。
定期的なミーティングでExcelを共有し、インプレッション数が前月から何%増えたかなどを確認する。どこに広告が表示されたかは誰も気にしないのだから、無頓着なのも当然なのだ。
この問題は2010年代から言われてきたが、もはや臨界点に達していると思われる。性的広告について市民が声を上げたように、ネット広告全体について異を唱える市民団体ができてもおかしくない。関係者全員が根本的な解決に向かわないと、国民からネット広告に「NO」が突きつけられかねない。
根本的な解決のカギは何か
解決のためには、もちろん広告代理店やメディアなど業界側が変わる必要があるが、発注する側である広告主も意識を変えなければならないだろう。
だが、広告担当の現場だけでは簡単に変わりそうにない。社内で部署としての成果を認めてもらうには、数字で示す必要がある。ブランドが損なわれるリスクは置いておいて、インプレッションなどの数値を高めることに躍起になるのは仕方ないことでもある。
解決の唯一のカギは、ネット広告で顕在化しつつあるリスクを、経営問題と捉えられるかどうかにある。広告担当の現場ではなく、経営者が動くべきなのだ。
フジテレビへのCM出稿を多くの企業が止めたのは、広告担当の現場ではなく、経営者がコンプライアンス上のリスクを回避するためだった。フジテレビへのCMを止めたのなら、性的広告を表示するサイトからも広告を撤退すべきではないだろうか。
フジテレビと同じ、いやそれ以上のリスクが、今のネット広告には潜在しているといえる。
6月9日、総務省の有識者会議「デジタル広告ワーキンググループ」でまとめた「デジタル広告の適正かつ効果的な配信に向けた広告主等向けガイダンス」が公開された。昨年10月から8カ月に及ぶ議論をまとめた非常に濃い内容で、現状で広告主がケアすべきネット広告のリスク項目が詰まっている。
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