《性的広告停止》で終わりではない!ネット広告「無法地帯化」で業界と広告主が向き合うべき大問題
同団体の代表は香川県在住の3児の母だ。もともと市民活動をしていたわけではなく、1人の親としておかしいと思ったことを勇気を奮って活動を始めたという。ネット署名を立ち上げたのも初めてだったが、それがじわじわと増えて10万筆に至ったのは、同じように感じていた親が日本中で悩んでいた証しだ。
彼女と署名に応じた市民の声が大きく広がり、世の中に影響を与えた。署名提出と電子コミック業界の宣言が同じ日になったのは、偶然とはいえ、署名の影響力を示すものではないだろうか。
歓迎すべき動きが続々と出てきたが、その一方で、自主規制や注意喚起だけで問題がどこまで解決できるかは疑問が残る。
野放図な運用型広告が幅を利かせる無法地帯
性的広告に限らず、ネット広告には問題が山積みだ。なぜ不適切な広告が野放しになるのか。アドネットワークをはじめとする野放図な運用型広告がネット広告の主流になってしまったことが原因と考えられる。そこには構造的な問題がある。
広告代理店はインプレッション、つまり広告の表示数を増やすよう広告主から求められる。対象となるターゲットに広告が「当たる」ようにアドネットワークを利用する。1つのアドネットワークに発注すれば、何千何万ものサイトに広告が配信できる。
無限大に存在するネット上のサイトに広告を展開すれば、インプレッション数は高まるが、掲載先の中身までチェックができない。怪しいサイトが混じっていても確認できない。
その中には、3月の記事で紹介したMFA(Made For Advertising)サイトも混入しやすくなる。広告収入を獲得するために何者かが作成したMFAでは、フェイクニュースや猥褻なコンテンツも平気で並んでいる。
アドネットワークの氾濫は、もはやネット広告を無法地帯化しているといえる状況だ。その中には性的広告が紛れ込んでしまう。それだけでなく、むき出しの歯茎や目の下のたるみを不自然なまでに強調した、目を背けたくなる広告も日常的に表示される。
立派な論考が書かれた記事にそんな広告が表示されると、その記事までいかがわしく思えてしまう。隣りに大企業の広告が並んでいると、会社としてどうなのかと疑いたくなる。
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