さて、問題が複雑に見えるときに、本質をもっともよく理解するには、その問題によって誰が利益を得ていて、誰が損しているかを確かめるとよい。
新自由主義で労働者は豊かになれるのか
新自由主義の本質をよく理解する方法は、新自由主義をとおして利益を得ているのは誰なのか、損しているのは誰なのかを見ることだ。
結論からいうと、勝者は資本家であり、いつも犠牲になっているのは労働者、そしてアルバイトたちだ。資本家は商品が売れても売れなくても、利益を得ている。なぜか?
景気が低迷して商品の需要が減ったら、構造調整をとおして社員とアルバイトを解雇して、費用を削減すればよい。一方で景気が活性化して商品の需要が増えたら、社員とアルバイトをさらに雇って、需要にこたえたらよい。
資本家は好況であれ不況であれ、ある程度自分の純収益を守れる。それなら労働者、そしてアルバイトたちの立場からはどうだろうか? 商品が売れているときは、彼らに大きな問題はない。売れているだけ大きな収入が得られるわけではないが、生活を維持できるくらいの安定的な給料を受け取れるからだ。
ところが、商品が売れない景気低迷期には、職を失う。景気が揺れ動くたびに、犠牲になる人たちは労働者なのだ。いつも労働者だけ犠牲になる、ワリに合わない社会。
一方で後期資本主義は、まずは社会的弱者の生活の質を向上させる必要があるという考え方だ。富を持つ少数だけのための成長よりは、社会全体の均等な分配を優先するほうがよい。資本家と企業の投資意欲を失わせ、資本離脱の危機があるかもしれないけれど、それより分配が先だ。
結論からいえば、僕たちの社会が解決するべき問題は、現代の社会が新自由主義の方向に進むか、もしくは後期資本主義の方向に進むか、ということだ。
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