新自由主義を推し進めていれば、日本は失われた30年を回避できたのか。それは最善の経済体制か、それとも問題だらけのしくみか

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彼らは1970年代以降の長期不況の原因を、修正資本主義(注:戦後の日本で生まれた経済体制。政府が特定の分野に大規模な資金を投入し、企業の成長を意図的にうながすしくみ)が追い求めた過度な政府介入にあると考えた。

国家権力による市場介入を批判して、市場の自由性の保障と脱規制が大切だというのだ。こうして政府の過度な介入を拒否する姿勢は、初期資本主義と似ている。

新自由主義は最善の経済体制か

結果だけを見ると新自由主義は、いま、世界でもっとも影響力がある経済体制として定着している。

新自由主義は、企業と国がまず競争力を持つべきという考え方だ。国全体を、まず成長させる必要があるのだ。また、福祉は後回しにしても仕方ないという。

新自由主義は最高の経済体制ではないけれど、それでもいまのところ人類が考えだした最善の経済体制だといわれている。

全体的には経済が成長して発展しているからだ。それについての判断はひとまず置いて、新自由主義の問題点を整理してみよう。

新自由主義は政府の介入がないという点から、初期資本主義と同じ問題を抱えている。資本によって独占現象が起きる。すると貧富の差が深刻になる問題が起きる。同じ理由から、誰かが勝ちつづけて誰かが犠牲になりつづける問題も起きる。

税金と規制が減った新自由主義体制では、どうしても巨大な資本力が独占的に事業を引っ張っていってしまう。資本は、自分よりも小さな資本をしたがわせる力を持っている。

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