WWDC 25で発表された次世代iPhone用OS、透過・屈折・反射する「Liquid Glass」インターフェースとは何か
今回、WWDCで発表された各種OSでは、それらから我々を解放してくれるさまざまな工夫がちりばめられていたが、Liquid Glassというデザインこそ、我々ユーザーのストレスを減らし、快適にiPhoneや他のデバイスを使うために作られている。
先に、概要を説明しておくと、今回、iPhone、iPad、Mac、Apple Watch、Apple TVの5種類のOSが初めてひとつのデザインコンセプトに集約される。それがLiquid Glassの役割でもある。それぞれのデバイスのデザインに一貫性がもたらされ、どのデバイスも同じように使えると同時に、それぞれの異なる部分も逆に際立つ設計になっている。実によく考えられたデザインだ。
そもそも、iPhoneのこれまでのデザインは大きく2期に分けられる。初代からiOS 6までのスキューモーフィズムと、iOS 7からiOS 18までのフラットデザインだ。

スキューモーフィズムとは初めて登場した「スマホ」というものが世の中に普及するために、従来現実世界にあったものの形状を再現したデザイン。ノートアプリはノートのカタチをしており、コンパスアプリはレトロなコンパスのカタチをしていたことをご記憶の方も多いと思う。ノートアプリなどは意味もなくミシン目なども再現されていたものだ。Instagramのアイコンも、初代はポラロイドカメラを模したものだった。
その反動として作られたのがiOS 7で登場したフラットデザインだ。スマホが十分に普及して現実を模する必要がなくなった表れでもある。シンプルで平板なデザインで、わかりやすさが重視された。フォントは英語ではHelvetica Neue Ultra Lightが採用され、非常に繊細なイメージとなった(日本語はヒラギノ角ゴだったので、少し印象が柔らかい)。
長い間かけて熟成されてはきたが、フラットデザインの最大の欠点は、少しわかりにくさがあることだった。また、研ぎ澄まされたデザインだけに、コンセプトに従わないデザインが交じってくると、押し負けてしまうという欠点もあった。「シンプルだけど、どこに押すべきボタンがあるのかわかりにくい」「合間に表示されている広告に圧倒されてしまう」というのがフラットデザインの問題点だった。
単なる「透明」ではない「流れるような透明」
そうしたさまざまな要素を加味して、第3世代のデザインコンセプトとして登場したのが、Liquid Glassだ。

内部的には、iOS、iPadOSを踏襲したものになりつつあるmacOSをはじめ、派生した他のすべてのアップルデバイスでLiquid Glassは採用される。
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