TSMC、最先端半導体技術の「海外流出防止」に自信 巨額対米投資への不安に、経営トップが火消し

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TSMCは2025年3月、アメリカへの投資を1000億ドル(約14兆2990億円)上積みすると発表した。

これにより、同社の対米投資計画は総額1650億ドル(約23兆5930億円)に膨れ上がった。その中には(シリコンウェハー上に回路を形成する)前工程の工場6カ所、(チップの封入とテストを行う)後工程の工場2カ所、研究開発センター1カ所の建設が含まれている。

TSMCの魏哲家CEOは「トランプ関税の影響は限定的」と説明するが、投資家の不安を払拭できるかどうかは不透明だ(写真:TSMC提供)

これらの工場群はアリゾナ州フェニックスに建設される。前工程の第1工場はすでに完成済みで、2024年10~12月期に量産を開始した。第2工場も建設工事が完了し、量産への準備を進めている。

対米投資が粗利率押し下げ

「アメリカでの生産能力増強は、顧客の需要に対応したものだ。“トランプ関税”がわが社に与える直接的な影響は限られている」。魏CEOは株主総会でそう強調し、投資家の不安の払拭に努めた。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

とはいえ、TSMCの開示情報には巨額の対米投資の影響がすでに表れている。2024年版のアニュアルレポート(年次報告書)に記載された子会社別の業績一覧によれば、アリゾナ工場の運営を担う子会社は同年に約143億台湾ドル(約682億円)の純損失を出した。それに対し、中国の南京工場を運営する子会社の純損益は約260億台湾ドル(約1239億円)の黒字だった。

TSMCの説明によれば、アリゾナ工場はまだ立ち上げの段階にあり、生産規模が小さく、部材などの調達コストも高い。同社はアリゾナ工場(への先行投資や相対的な高コスト)が、会社全体の今後5年間の粗利率を2~4ポイント押し下げると予想している。

(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は6月3日

財新 Biz&Tech

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