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森永卓郎さんが徹底解説! 老後資金の「貯め過ぎ」が招く意外な落とし穴  “預貯金500万円”を超えると、補足給付が受けられない

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  • 森永 卓郎 経済アナリスト、獨協大学経済学部教授
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そして2015年からは、住民税非課税の単身者で、預貯金が1000万円以下ならば補足給付を受けられるようになりました。補足給付は一律ではなく、住民税を支払っていて、かつ1000万円以上の預貯金がある人は対象外ということです。

さらに2021年8月、制限対象となる預貯金の額が1000万円から500万円に引き下げられました。それまでは補助の対象内だった「預貯金500万円以上1000万円未満の人」も自己負担になったということです。こうしてじわじわと預貯金のある人から搾り取る体制が進展してきたわけです。

預貯金500万円を超えると、補足給付が受けられない

その上、年金収入が増えると、預貯金の基準はいっそう厳しくなります。

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仮に年金収入ほかの収入が80万円以上120万円以下とすると550万円以上、120万円以上の収入があれば500万円を超える預貯金があることにより、補足給付を受けられなくなるのです。

ちなみに、ここでいう「預貯金」には金融機関に預けているお金だけでなく、有価証券や投資信託も含まれるので、かなり厳しい制度設計になっていると言えます。

現在、健康で介護の必要を感じていない人は、これらの介護制度の変遷が、自分の生活にどんな関わりがあるのか想像できないかもしれません。ただ、確かなのは、政府が預貯金のある人から順に切り捨ててきたことです。

ことは深刻です。仮に預貯金が500万円、年金収入が120万円の人が補足給付を受けられなくなったら、その500万円はあっという間に介護費用で消えてしまう。そんな事態が、間もなく現実のものとなるでしょう。

厚生年金受給世帯が受けとる年金は、将来的に、夫婦2人で13万円になると思われるからです。現に厚生労働省は、30年後の年金額を6段階に分けて検証していますが、最低金額は12万9000円になっているのです。

それにしても、「投資は最大のリスク」であり、「預貯金は搾り取られる」となったら、いったいどのように人生設計をしてゆけばいいのでしょう。

私から提案できるのは、やはり生活コストをどんどん減らしていくことです。

そして将来的に、家賃はゼロ、生活費はほんのわずかになるよう、トカイナカに家を買える程度+αくらいの貯金にとどめる。年金以外は基本的に無収入で所得税を最低限に抑え、「住民税非課税世帯」を目指す。

こうした対策により、政府が容赦なく財布に突っ込んでくる手を、「私から出せるものはありませんよ」と振り払えるようになっていきましょう。

「貯め過ぎ」は損をする。生活コストを減らすライフスタイルを実践しよう

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