今でこそ一杯1200円、1300円というお店も増えてきたが、初めに動いた飯田さんには大きな覚悟があったに違いない。

「異業種の方々とも交流させていただく中で、『ラーメン界はこれでいいのか?』みたいな疑問が湧いてくるんですね。ラーメン界では当たり前なことが他の業界から見ると異質だったりする。
例えば、有名な中華料理店で担々麺が一杯3800円で出ている。それでこっちは『1000円の壁』かと思うと、もうこれは死語にしないといけないなと。いろんなお付き合いが出てくる中で自分の意識も変わってきましたね」(飯田さん)
飯田さんはラーメンを高級なものにしたいということではない。もっと多様であっていいと思っているのだ。
飯田さんが考える、「1000円の壁」の正体

「1000円の壁」は圧倒的に心理的な部分が大きい。食材原価や人件費、光熱費などを考えたら1000円は当たり前に超えていていいところを、心理的な面で我慢してきたのがラーメン界だ。
「安くみんなに食べてほしいという心理的なところが大きいですよね。勝手にラーメン屋さんがそこに毒されているのが『1000円の壁』の正体だと思っています。
お客さんのことを大事にしすぎるあまり、『これ以上値上げしたら困るんじゃないか』とか『これ以上上げたらお客さんが来られなくなっちゃうんじゃないか』と思うわけです。これはもちろん僕にもありますが、店主がそういう思いを飲み込みすぎて、麻痺してしまっている部分もあるような気もします。
一方で、自分たちの仕事に対してしっかりとした対価をいただくことが自分たちの日々の仕事に対する“責任“でもあります。ラーメン屋が自分たちの仕事に対してもっと精度上げて考え、責任を持つことが大事なんじゃないかなと思っております」(飯田さん)

ラーメンはこれといったルールも定義もなく、自由度があるところが魅力だ。だからこそ、「飯田商店」の15年の歴史でここまで変革し、成長を遂げることができた。飯田さんはトップランナーとして、今後も成長できる土壌を作り続ける。

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