「安く食べてほしい」に毒されていた…。650円だったラーメンが15年で1800円となった「飯田商店」。変えたのは自分たちの“思い込み“だった

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「もっと本格的にラーメンの道で生涯生き抜こうと決めたのは、割と早かったと思いますね。最初の段階ではとにかくがむしゃらにやっていましたが、何年かやっているうちに自分だけの味を突き詰めたいと思うようになり、自分が全部生み出した新しい味を求めて9年目にラーメンをリニューアルしたのが大きいですね。

この辺りから視野が広がり、いろんな夢みたいなのが出てきたのはここ最近です。弟子を取ったり、いろんな後輩が慕ってくれるようになったりして、それから『飯田商店』だけでなくこの人たちのために、ラーメン業界のためにと考えるようになりましたね」(飯田さん)

「飯田商店」がオープンしてからのこの15年は、ラーメン界にとっても一、二を争う激動期だった。

その中でトップランナーとして走り続けてきた飯田さんの功績は大きい。価格の面もそうだ。2022年5月に「飯田商店」がラーメンを1600円にしたニュースには業界が激震した(現在は1800円~)。

「創業当時は650円で提供していましたが、今はラーメンを作るという“仕事”にしっかりお金をいただけるようにと強く意識しています。1600円にさせていただいた時もだいぶニュースになりましたけど、ネガティブな意見はなるべく見ないようにして、前を向いてきました。

今までは『自分まだまだなんで頑張ります』といってラインを引いていて、それはある意味楽だったんですが、自分の発言や行動の影響力を自覚してから、覚悟を持たなくてはならないと考えるようになったんです。うちの店だけでなく、業界のためにいいだろうと思って信じてやっています」(飯田さん)

「ラーメン界はこれでいいのか?」という疑問

ラーメン一杯「1000円の壁」が業界に大きく立ちはだかる中で、飯田さんはラーメンの価格の幅を広くしたいと考えていた。

安価で気軽に食べられるラーメンの存在を尊重しつつ、料理性の高いラーメンの価格のレンジを広げることで、ラーメンの進化が止まらないように動いたのだ。

もっとも高いメニューは、2025年現在、2700円で提供されている。それでも、全国からラーメンファンが足を運ぶのだ(筆者撮影)
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