「カウンターに立ち続けて39年」「休みは盆と正月だけ」蝶ネクタイのマスターが営む“ふつうの喫茶店”が、地域で愛され続ける理由

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
珈琲家族 可輪亜居 ツナゴボウサンド
ツナゴボウサンド750円(ミニゼリー付き)。味の決め手はドレッシングだが、何を使っているかは企業秘密だ(著者撮影)

人気商品はツナゴボウサンド。

ゴボウを短冊切りにしツナ、サニーレタスと交ぜて、市販のドレッシングで和えるだけ。

30年以上前からあったメニューだが、よく注文されるようになったのは最近だ。

筆者も食べてみたが、ツナを加えるとボリューム感が増し、レタスとゴボウのシャキシャキした食感が食欲をそそった。

パンの端まで具が詰まっているが、小さくカットされているので食べやすい。

「自分が食べて美味しいと言えるメニューを提供しています。どれが一番いいかアレンジを工夫して、それが大事な商品になっています」

商売の原点は新聞・牛乳配達をした中高時代にあり

珈琲家族 可輪亜居
河合さんの故郷の盆踊り「郡上おどり」のポスター(著者撮影)

河合さんは岐阜県郡上市で生まれ育った。

幼い頃父を病気で亡くし、母は女手一つで河合さんと姉を育て上げた。

商売に興味を持ったのは、新聞配達のアルバイトを始めた中学生の頃。

高校生になると、牛乳配達のアルバイトで家計を助けた。

配達の手際が良く、学費など学校に関する費用をすべて自分で出せるほど多くのアルバイト代を受け取った。

「配達ばかりしていると道を覚えるので、企業から配達の依頼が来るんです。プロパンガス、クリスマスケーキ、年末年始は郵便局で年賀状配達。新聞と牛乳配達を長くしていたおかげで、地理や住んでいる人の名前は覚えていました。田舎だから名字が同じ家が多いんだけど、名前を見たらここだとわかる。郵便局にはすごく重宝されて、春休みや夏休みも頼まれて配達していました」

大人のお客さんと会話をするのが楽しかった。

河合さんの対応ひとつで注文数が増えると、アルバイト代にも反映され、商売の面白さと喜びを実感した。

「バイト王」と呼ばれるほどアルバイトに精を出しながら、高校ではバレーボール部のキャプテンも務め、青春を謳歌した。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事