《豆腐×サッカー》異色のコラボ ”久保建英の古巣”も熱視線!スペインサッカー界でにわかに注目集める「日本の豆腐」の可能性
農林水産省が任命する「日本食普及の親善大使」も務める矢ノ目シェフは、18年前からスペインで日本食の普及に貢献している。長年の経験から導き出された戦略が、料理を出す順番に表れていた。
「まずはスペイン人が食べ慣れているようなものから始めて、『おいしいな』『興味あるな』と思ってもらうことが大事です。そして次のステップへ進んでいく。味をしっかりつけないとなかなかスペイン人には受け入れてもらえないですね」
矢ノ目シェフによれば、豆腐の受け入れには段階を踏む必要があるのだという。
「今はスペインでも人気の寿司ですが、数年前のスペイン人は生魚をなかなか食べてくれませんでした。最初はスペイン人が食べやすいように調理をしていました。それに慣れれば、伝統的な調理法も受け入れてくれるようになります。それと一緒で、少しずつ変わってくると思うんです」
この段階的アプローチは功を奏した。ラザニアとコロッケを躊躇なく試食するスペイン人の参加者たちだったが、お好み焼きと豆腐ハンバーグには「これはなんだろう」と首を傾げる場面も見られた。
豆腐ハンバーグは和風テイストで、通常の照り焼きソースに昆布とゆず胡椒を加えた日本人好みの味付けとなっている。試食が進むと「¡Qué rico!(ケ・リコ)」(おいしい!)という声が相次いだ。
参加者たちは、豆乳やゆばの試食にも好反応を示し、「このような食べ方があるなんて知りませんでした」と新たな発見を喜んだ。

イベント着想のきっかけはNetflix?!
このイベントの火付け役は、農林水産省からスペインに派遣されている在スペイン日本国大使館一等書記官の四方涼平さん。彼は、日本食材の輸出促進をミッションとして活動している。
「日本食を海外に広げることは、日本の食品企業の発展にもなるし、農家さんを守ることにもつながると思っています」
そう語る彼の情熱が、今回のイベントの原動力となった。四方さんは人と人とのつながりを大切にしているのだという。きっかけは意外なところにあった。

イベントの数カ月前、四方さんは、Netflixのサッカードキュメンタリー『LALIGA:ビヨンド・ザ・ゴール』(英題:『LALIGA:All Access』)を観ていた。すると、レアル・ベティスの選手が豆腐を食べている一場面を発見する。後日、以前からつながりのあったバルセロナにある豆腐店「染野屋」のマネージャーに「ラ・リーガの選手が豆腐を食べてるみたいですよ」と伝えた。
サッカー選手と豆腐――。その構想が頭に浮かんだ数日後、日本酒のディストリビューターをしていたスペイン人の知人から、ビジャレアルの佐伯さんを紹介してもらった。
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