《豆腐×サッカー》異色のコラボ ”久保建英の古巣”も熱視線!スペインサッカー界でにわかに注目集める「日本の豆腐」の可能性

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この日行われたイベントは、スポーツ栄養学の新境地を拓く試みでもあった。

「日本食はチームパフォーマンスを劇的に向上させる可能性を秘めている」

20年以上にわたりビジャレアルCFの栄養管理を担当するエクトル氏は、確信を持ってそう語る。

彼は、プロサッカー界に先駆けて、高度な栄養管理システムを取り入れたパイオニアだ。水素水の導入や、選手の抗酸化ケア・消化ケアを重視する革新的なアプローチでも知られる彼が、以前から高い関心を寄せていたのが日本食だった。

すでにビジャレアルでは、試合後のリカバリー食として細巻き寿司を採用している。しかし、豆腐だけは導入に踏み切れずにいたという。

「豆腐は肉の代わりにプロテイン摂取に最適なのは知っていました。ただ、どう調理するとおいしく食べられるのかがわからず、採用できずにいました。僕が好きになれないものを選手に食べろという訳にはいかないので」とエクトル氏。

エクトル・ウソ氏
ビジャレアルを代表して挨拶をするメディカルチーム・ディレクターのエクトル・ウソ氏(写真提供:ビジャレアルCF)

このエクトル氏の言葉に反応したのが、ビジャレアルのフットボールマネージメント部で活躍する佐伯夕利子さんだ。佐伯さんは、スペイン男子クラブで初の女性監督となった先駆者で、2022年から4年間Jリーグ理事を務めるなど、サッカー界では広く知られる存在である。

「いや、あなたが言っている豆腐は、日本人からしたら豆腐じゃないんですよ」

そう指摘した一言が、今回のプロジェクトの始まりだった。このやりとりがきっかけとなり、「本物の豆腐」をビジャレアルCFに導入するプロジェクトが動き出した。

佐伯夕利子さん
イベントの仲介役を務めた佐伯夕利子さん。ビジャレアルでの指導改革を著した『教えないスキル』に続いて2024年には『本音で向き合う。自分を疑って進む』(竹書房)が刊行された(筆者撮影)

163年の歴史を持つ老舗が豆腐を提供

今回のイベントで使われた豆腐は、1862年創業で163年の歴史を持つ豆腐の老舗「染野屋」の提供によるものだ。沖縄産の天然にがりとオーストリア産の高品質な有機大豆を使用し、日本の伝統的製法により生産されている。

「より滑らかな食感と自然の甘みが特徴です。バルセロナで毎日生産し、最高の鮮度と風味を保証しています」

そう語る染野屋のマネージャー小林正哉さんは、豆腐の質に胸を張る。また、豆腐は100%植物性で、ビーガン食にも適しており、肉を食べられない宗教的な事情にも対応できることもアピールした。

ビジャレアルCFには、フランス、モロッコ、セネガル、アルゼンチンなど多国籍の選手が在籍するため、さまざまな文化に適応できる食材として価値がある。

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