元なでしこ・宮間あやさん(40)「絶望でしかなかった。でも生きていくと決めた…」。彼女が初めて語った《引退の真相》とサッカーへの思い
そのために黙々とスキルを磨き、世界最高峰の精度を誇るキックを身につけた。そして、なでしこジャパンは世界一になり、日本中に喜びをもたらした。
しかし、その成功体験が輝かしいものであればあるほど、それは重荷にもなっていく。
当時の国内リーグは、まだWEリーグ(女子プロサッカーリーグ)が発足する前で、アマチュア契約の選手が多かった。強いなでしこジャパンであり続けることを求められるなかで、なでしこリーグでプレーする仲間が抱える状況も痛いほどわかっている。宮間は「女子サッカーを『文化』にしたい」と訴え、女子サッカーの環境改善に尽力するも、そのギャップはすぐには埋まらなかった。
「そのとき、その日に改善してきたことはベストだったと思っています。だから、未練はありません」

それでも生きていかなければならない
そこまでストイックに、一切の妥協も許さず、全身全霊で向き合ってきたサッカー。それがある日、突然人生からなくなってしまった。「未練はない」というものの、喪失感は計り知れないのではないか。
「包み隠さずに言えば、絶望でしかなかったです。自分にとっての大きな礎だったものがなくなってしまったので、どうやって生きていこうかなと。本当に何をしていいのかわからなかったですが、それでも生きていかなければならないし、生きていこうとは思っていました」
朝起きても予定がない。練習もない。目標もない。家に引きこもる日々が数カ月続いた。「時間はたくさんあったはずなのに、何をしていたのか覚えていない」と振り返る。
現役時代は1日何試合と観ていたサッカーの映像を観ることができなくなった。
「頑張るとか、何かに人生を懸けるなんてばからしいという境地に陥ったので、サッカーだけでなく、スポーツを観ること自体がつらかったですね」
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