日中のレールガンも似たような効果を望んでいる。目標の将来位置推測も容易となる。砲弾のスピードが3倍あるので近くならまっすぐ狙うだけでよい。2.5キロメートルなら漠然と目標の300メートル先の海面を狙うかたちだ。
信管などもたいしたものはいらない。1発ずつの発射でも直撃が期待できれば信管はいらない。散弾利用でも当然だが不要となる。子弾方式つまり飛行中に散弾を放出する形式でも「だいたい0.5秒ぐらい」でよい。
それでも日本はアメリカのレーザー砲を買う
なお、中国論文では子弾利用を前提とした検討をしている。その中では20キログラムの砲弾に10キログラム分、6万個のベアリングを詰めた場合、3発で縦150メートル、横100メートルを覆い尽くせるとの試算がある。論文執筆者の所属は中国の海軍工程大学である。
同時に、日中はレーザー砲にも期待を寄せている。レーザー砲一本槍であり軍艦用レールガンに乗り気ではないアメリカとは対照的である。
結局のところ、日本はアメリカ製レーザー砲を買う可能性が高い。
当事者の海上自衛隊はそう考える。アメリカ海軍のやることにはまず間違いはないし、国産兵器よりもアメリカ製のほうがよくできていることを知っている。そのうえで、任務を達成するため国産よりもアメリカ製を買うべきとの結論に至るからである。
そもそも、レールガン開発元の防衛装備庁にしても、確証はなさそうである。「レーザー砲よりもレールガンのほうが適している」との理屈を示していない。
おそらくはアメリカ製との衝突を避けただけだ。兵器国産化を進める立場から、新世代砲も自製したい。ただ、同じレーザー砲を開発するとアメリカ製に負ける。
さらに、同盟国アメリカが作るなら日本が独自開発する理由も立たない。だからレールガンを選んだ程度だろう。
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