アメリカが進めるレーザー砲は、激しい光で目標を破壊し損傷する兵器だ。SFに出てくる武器の実現型と考えてよい。
利点は、照準が容易なことである。光速で目標に到達する。そのため大砲のように数秒後の位置を推測して狙う必要はない。いまの有効射程なら現在位置に照射すればよい。
なお、アメリカ海軍では一種の実用段階にある。2014年に登場したLAWSでも、目標のセンサは目潰しできる。2022年登場のヘリオスはセンサを焼き切れるとしている。出力は32.4キロワットと60~150キロワットである
そのうえで開発中の「ヘルキャップ」は本体破壊を狙っている。ちなみに、出力は300キロワットである。
「新型ミサイルを撃ち落とせない」問題
なぜ、日米中はこのような新世代砲の開発を進めているのか。それは超々低空目標迎撃のためだ。陸上用としては、こずえよりも下を飛ぶ小型ドローンの迎撃を目標としている。本記事が取り上げる海軍用は新型の対艦ミサイル、海面高度1メートルを飛んで接近してくるミサイルの迎撃を最終目的としている。
具体例を挙げればNSMミサイル(Naval Strike Missile、海軍向けの打撃ミサイル)の迎撃である。アメリカが採用した対艦ミサイルであり、海面高度1メートルで艦船に突入する。
ほかにもステルス性能や、電波を出さない赤外線カメラ誘導、軍艦の弱点1メートル以内に命中する狙撃能力や、迎撃回避のための蛇行や螺旋(らせん)飛行モードも備えている。
このタイプのミサイルは従来型兵器では迎撃できない。中国の論文には「迎撃不可能」とまで評価する例もある。火箭軍工程大学の雷ほかは「突防概率≈100%」つまり、軍艦側の迎撃はおおむね100%の確率で突破できるとしている。
なぜ、極端に低く飛ぶと迎撃できないのか。第1にレーダーからほとんど見えなくなってしまうからである。発見できるのは命中寸前の距離5キロメートルくらいである。
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