格安SIMブランド47.7%の裏側。純粋なMVNOは2021年から横ばい、サブブランドが成長をけん引する実態
「コミュニティがあることで、長く使ってもらえる。疑問があれば他のユーザーが助けてくれる安心感がリテンション(顧客維持)につながっている」(松田氏)
実際、解約率の低さが同社の強みだ。一般的に格安スマホ事業者は価格競争に巻き込まれやすく、顧客の流動性が高い。しかしmineoは「ファンとの共創」という独自の価値を生み出すことで、価格だけでない競争力を獲得している。
独自の強みで通信業界に変革をもたらす
「うちのシェアプランを使えば、家族5人で月額3608円。1人あたり4GBで722円です」
井原氏が誇るのは、契約者の4割が利用するシェアプランだ。最大8回線まで容量を分け合える仕組みで、単独契約より月額2332円も安くなる。料金プランは1GBから10GBまで1GB刻み110円単位という細かな設定で、「安くないとイオンモバイルじゃないでしょう」という井原氏の言葉通りの価格設計になっている。

イオンモバイルでは高容量プランへのシフトが続いている。人気プランランキングでは「シェア20GB」が1位。以前はずっと小容量の4GBがトップだったが、今では20GB、30GBの需要が急増している。
「家族で使う容量が増えてきたんです。動画視聴やテザリング需要の増加で、家族全体で必要なギガ数が増えている。でもシェアプランなら、それでも安く抑えられる」

全国200店舗のイオンでサポートを受けられる安心感も武器だ。イオンカードや銀行など、グループの金融サービスとの連携も進めている。「MVNOで唯一MNOに対抗できる経済圏を持っている」と井原氏は語るが、同時に「まだそこをうまく活かせていない」という課題も抱える。それでも「イオンを使っているならモバイルもイオンですよね、と言ってもらえるサービスを目指す」という明確なビジョンを持つ。
マイナンバーカード必須化で「NFCが使えないスマホでは契約できなくなる」という2026年4月の法改正も、店舗を持つ同社には追い風となる。
「ギガも売れるモバイルを作ろうと思う、というアイデアを聞いた時に、これはいけるでしょうって、かなり前のめりで思いました」
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