「そこまで言うなら、材料の残り分だけね」 お荷物商品で一度終売した「ブラックサンダー」。《50円以下チョコ》市場で王者になれた深い経緯
しかし、当時の子供向け・小物チョコの主力はチロルチョコ、「ごえんがあるよ」やチョコナッツスリーなど、いずれも20円以下。
さらに50円を出せば「ビックリマンチョコ」(ロッテ)が買えたこともあり、ザクザク感があって美味しいとはいえ、30円のブラックサンダーは子供に敬遠された。「1日分のライン1本の生産量が、1カ月の受注量を下回る」という、極度の販売不振が続く。
かつ工場でも、製造時に材料が飛び散ることから、生産ライン清掃の手間がかかり、社内には終売を願う向きまであったという。販売・製造ともに音を上げる状況ではどうにもならず、ブラックサンダーはたった1年で生産終了。消え去る……はずであった。
なぜか九州で人気、生き残った結果
しかし、ブラックサンダーはなぜか九州で評判がよく、問屋からも「なぜ生産終了するのか?」との問い合わせが相次ぐ。なぜ、ブラックサンダーは九州でだけ好評だったのか? 九州出身の方々に話を聞いたところ、「『ブラックモンブラン(1969年発売・竹下製菓)』の影響では?」という回答が複数返ってきた。
アイスながらクランチチョコの食感が楽しめるブラックモンブランは九州で熱烈な支持を得ており、名前も食べ応えも似ているブラックサンダーが好まれたのでは?とのこと。
九州エリアでの好評を受けた営業社員が1人でブラックサンダーの販売継続を主張したこともあり、根負けした幹部が「そこまで言うなら、材料の残り分だけ」と再販が決定。ただ、河合社長いわく「九州で売れたというより、生き残っていた」状態で、ブラックサンダーは知る人ぞ知る存在として、細々と生産が続けられていた。

その間にも、小物チョコ界隈の市況は変わりゆく。
2000年に入り、フルタ製菓が「チョコエッグ」の大ヒットを足掛かりに販路を拡大、当時は30円だったセコイヤチョコレートが「ハイエイトチョコ」「ドレミソングチョコ」など他のフルタ勢とともに、前年比10%~20%増を記録している。(2003年9月26日 日本食糧新聞より)
無料会員登録はこちら
ログインはこちら