デビュー15周年の松坂桃李「家庭を持ってから考えるようになったこと」。最新作で共演の”大御所俳優”との思い出も聞いた《独自インタビュー》
一方で、SNSが持つ「つながり」の力も感じている。
「今回の作品も、サイモンさんのYouTube動画やSNSでの広がりがあったからこそ生まれた企画。だから希望もある。自分の想いが誰かに届く可能性に、素直に懸けてみたくなるんです」
「演技を超えた時間」

最も心を動かされたのは、ラストシーンだった。
「感情を抑えることができなかった。あれはもう演技じゃなくて、寺尾さんが引き出してくれた“本物”の時間でした」
父と息子の心がようやく交わる瞬間。雄太としての涙と、松坂自身の心が、自然に重なった。
「寺尾さんの声、空気感、眼差し……そのすべてが、僕の内側に届いたんです」
しかもその場面は、奇しくもクランクアップの瞬間でもあった。
「現場のスタッフ、キャスト、みんながその空気を共有していて。撮り終えたあと、みんなで飲み物を持ち寄って乾杯した時間も、本当に温かくて。みんなの顔が柔らかくて、嬉しそうで……あの時間も、僕にとっては作品の一部だったように思います」
俳優としてだけでなく、一人の人間として――松坂の胸には、確かに何かが残った。
「正直、ここまで深く考えることはありませんでした。でも、家庭を持ってから少しずつ、『自分が年を重ねたとき、子どもに迷惑をかけずにいられるにはどうしたらいいのか』と考えるようになったんです。将来、病気になるかもしれないという現実にも、ちゃんと向き合うようになりました」
そして、そんな自分を支えてくれる家族の存在もまた、見つめ直すようになったという。
「支える側の心が、疲弊してしまうこともあると思います。でも、その“ひずみ”をどう受け止めて、どう寄り添うか――。この作品を通して、そんなことも考えるようになりました」
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