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「人生を選ばないことは、静かに自分を殺すこと」…哲学者が見抜いた"中年の危機"に陥る人の共通点

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  • 小川 仁志 哲学者、山口大学国際総合科学部教授
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しかし進路を決める時期に、両親から「音楽では食べていけない」「将来のことを考えなさい」と言われ、「親を安心させたい」という思いから、安定した銀行員の道を選んだのです。

その後、彼女は銀行で堅実に働き、毎月決まった給料はもらえるようになりました。やがて、銀行の同僚にプロポーズされて結婚して退職。子どもを育て、一見何不自由ない人生を歩んできた彼女ですが、心の内側では常に何かが欠けていました。

「この人生は本当に自分が望んだものだったのか」

子どもが独立し、ようやく自分と向き合う時間ができた50代になって、空虚感はさらに大きくなりました。

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「この人生は本当に自分が望んだものだったのか」という思いを抱えるようになったのです。

表面的には理にかなった選択をし、周囲からは「幸せな人生」と見られていても、彼女の心の奥では常に「別の道」への未練が残り続けていました。そして、「あの時、音楽の道に進んでいたら……」という思いが、年を重ねるごとに強くなっていったのです。

人生は思うようになりませんが、「やらなかった後悔」は、非常に強く残ります。それに加え、「望んでいないことをやってしまった後悔」も、やはり心に残ります。

ピアノを続けなかった「やらなかった後悔」。

親を安心させるために、「望んでいないことをやってしまった後悔」。

50代になった彼女をより苦しめていたのは、どちらの後悔だと思いますか?

自分で考えること、自分で選択することを放棄すると、自分自身の本当の意思や希望とは無関係に、他者の思惑によって引きずられる人生を歩むことになってしまうのです。

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