【全国制覇→倒産】儲からない中小企業の社長に欠けている“視点” 目標数字を達成した後に「業績低迷」する会社が多い理由

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例えば、「既存商品の売れ行き低下」「原材料の値上げ」「顧客からのクレーム」「発注のミス」「経理数字の間違い」「社員同士の人間関係トラブル」……。この目先の問題に必死になって取り組み、それを解決していくのが虫の目です。

しかしそれだけだと、1つの問題が解決すれば、また次の問題が発生して対応しなければならない「モグラ叩きゲーム」状態になり、社長が常に目先のことに追われることになってしまいます。

ポイントとなるのは、その仕事が社長でなければできない仕事なのかという点です。

例えば、「会社が将来どのような姿になっているのかビジョンを描くこと」「そのビジョンに向けた長期計画を立てること」「長期計画を中期計画、短期計画と落とし込んでいくこと」「その計画実現のための戦略を考えること」。これらは社長が鳥の目を持って行うべきことであり、社員の知恵を借りることはあるとしても、最終的には社長が決断すべきことです。

一方、日々目の前に現れるテーマは必ずしも社長ではなくても、対応できることが大半を占めます。それなら、それらのテーマは社長以外の人間が担って、社長は社長にしかできない仕事をすべきでしょう。

鳥の目と虫の目の両方が必要

ただし、目先に同じような解決するべきテーマが次々と現れるようなとき、社長は、その原因や原因の原因を根本的に考えて、そもそもそのような問題が発生しないような仕組みを考えなくてはなりません。

例えば、店舗での販売員の対応について顧客からのクレームが続いたとします。その場合には、なぜクレームが生じるのかという原因や、その原因の原因を分析しなければなりません。販売員の対応が悪いというのは根本原因ではありません。

なぜ販売員の態度が悪くなるのかを調べた結果、店長を選ぶ際に、過去の販売実績だけを選考要素としており、部下への指導の仕方をチェック項目にしていないことが判明したとします。それならば部下への接し方を含めて、もう一度全店の店長の適性をチェックし直したりします。

こうして、社長がクレームの根本原因を絶つ仕組み作り、すなわち業務改善や組織改善を実行し、長期的な目標への推進速度を上げていくのです。

もちろん的外れではない効果的な業務改善や組織改善を実行するためには、大所高所から俯瞰する鳥の目だけではなく、虫の目も必要です。

例えば、経理業務でミスが多かったり、月次決算の提出が遅れたりするという問題があるとします。その改善を図ろうとするとき、社長自身が経理業務の「け」の字も知らなければ、経理担当者に問題点の洗い出しや改善提案を依頼するしかありません。

その経理担当社員が有能で誠実な人物であれば、適切な問題の洗い出しや改善提案がなされるでしょうが、そうとは限りません。自分が楽をしたいために、「これくらい、普通ですよ」といって、問題があること自体を認めない恐れもあります。

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