「実はとても苦しいピンコロリ(突然死)」を避けるために気をつけたいこと
そして、ここからが肝心なのですが、「ぽっくり死ねるならピンコロリでもいいや」「自分の死後に恥ずかしいものが出てこようが、死んでいるんだからまあいいや」と割り切ったとしても、そもそもお望み通り、コロリと逝けるかどうかはわからないのです。
血管事故の先にある「後遺症」
じつは、心筋梗塞をはじめとした心臓病での致死率は30%ほどです。逆にいえば、70%の人は生き残ります。医学の進歩やAEDの普及などによって、救命率が上がっているのです。
助かるようになったのはいいことじゃないか――。そう思うでしょう。それは間違いありません。
ただ、心臓の血管が詰まったり狭まったりして心臓に十分な血液が行き届かなくなると、心不全を起こします。その心不全が重症であれば、たとえ命は助かったとしても、すっかり元通りの心臓には戻らないのです。
心臓の細胞の一部が死んでしまって、心臓のポンプ機能が衰えてしまうために、全身に十分な血液を送れなくなり、疲れやすくなったり、少し体を動かしただけで息切れしてしまうようになったりする。
そうなると、今まで楽しんでいた趣味も楽しめなくなってしまいます。ショッピングが好きだったのに外出が億劫になったり、ゴルフやテニスが趣味だったのにコースをまわるのもラケットを持ってボールを追いかけるのもしんどくなったり。
心臓のポンプ機能の衰えによって倦怠感や足のむくみがあると、運転もままならなくなり、ドライブも楽しめなくなるでしょう。あまりに重症の場合は、ご飯を食べるだけで疲れて、食欲さえなくなってしまうということも……。
このように、重症な心不全だと、たとえ命が助かっても、健康寿命は短くなってしまうのです。
しかし、もっと厄介なのは、脳卒中のほうです。脳卒中の致死率は15%ほど。脳卒中を起こしても、約85%の方は、コロリとは逝かず、命は助かります。
ただ、生き残ったのはいいものの、そのうちの約5割の方には、重症な麻痺や認知症のような症状などの後遺症が残ってしまうのです。
脳卒中の後遺症でもっとも一般的なのが、片麻痺と痙縮です。片麻痺とは、体の片側が動かしにくい、またはまったく動かせなくなること。痙縮は、筋肉が緊張しすぎてしまい、手の指が握った形のまま開かなくなったり、腕が曲がったまま動かせなくなったり、足先が伸びたまま突っ張ったりすることです。
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