「そんなのうまくいくわけない」が口癖 部下を否定せずにはいられない上司の心の闇
こんな具合に自分に言い聞かせても自分のプライドを守りきれなくなると、他の誰かの価値を否定して切り抜けるしかない。他人をおとしめることによって、相対的に自分の価値を高めようとするわけで、これこそ否定マウントの本質にほかならない。
身を守るためには、やりすぎるくらいの対策が必要
否定マウントは、かなりの実害をもたらす。まず、否定ばかりされている側は傷つき、やる気をなくす。また、これまでのやり方をすべて否定され、親会社とMBAのやり方を押しつけられたせいで、仕事の進捗に支障が出て、業績も低下している。
もっとも、否定マウントを繰り返す上司を変え、実害を減らすのは至難の業だ。ほとんど不可能に近いといっても過言ではない。というのも、不安が強く、現実を直視できない「幻想的願望充足」に陥っているが、その自覚がないからだ。いくら他人から指摘されても、自身のふるまいを振り返り、改めるとは考えにくい。
そこで、実害をこうむっている側としては、手をこまねいているわけにはいかない。新手法の導入が業績低下を招いている実態を克明に記録し、できるだけ具体的な数字を入れて会社の上層部に報告することが必要になる。
実害が出ている現状に関する情報を上層部と共有するわけだが、一人だけでやるのはリスクもハードルも高いので、否定マウントによる実害をこうむっている仲間を何人か集めてやるほうがいいだろう。
もしかすると、上層部のなかにも、会社のこれまでのやり方をすべて否定し、親会社とMBAの手法を導入した上司に対して苦々しい思いをしている人間が存在するかもしれない。たとえ親会社への忖度から、この上司に上層部が何も言えないにしても、苦々しい思いを共有できるだけでも収穫になるはずだ。
とくに、部下の提案を否定しておきながら、その後さも自分が考え出したかのように上司が持ち出してきた事例がどれくらいあったかについては、詳細に報告するべきだ。そのためには、上司とのやり取りをすべて録音しておくくらいの覚悟も必要だろう。やりすぎだと思われるかもしれないが、これくらいしないと否定マウントを繰り返す上司から身を守ることはできない。
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