大谷「出産立ち会い」で欠場がアメリカの常識な訳 試合に出ようものならイメージダウンは必至だった

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当時、ふたりは『ワイルド・スピード MAX』(2009)を撮影しており、ディーゼルは、ほかのキャストやクルーには秘密にしつつ、ウォーカーにだけ「今にも子供が生まれてくる」と告げた。

すると、自分の娘の出産に立ち会った経験のあるウォーカーは、「今すぐ病院に行くべきだ」「特別な経験を逃してはいけない」と主張。説得されたディーゼルは、監督に状況を告げて撮影現場を後にし、無事、出産の瞬間を目撃できた。ディーゼルは、取材でも、ウォーカーに対する感謝の気持ちを表現している。

ディーゼルはその後、長男と次女をもうけた。ウォーカーのおかげで、そのどちらの出産にも、彼は立ち会っている。次女が誕生する1年半前、ウォーカーは、悲劇的な事故で亡くなった。次女の出産のために病室にいた時、「ポールがいるのを感じた。彼は間違いなくそこにいた」と、ディーゼルは述べている。

男性セレブが出産立ち会いの潮流を後押し

マイケル・B・ジョーダンにはまだ子供がいないが、主演とプロデューサーを兼任した『クリード 炎の宿敵』(2018)に、アドニス(ジョーダン)がわが子の出産に立ち会うシーンを入れた。

病室に向かって一緒に歩きながら、コーチであるロッキー・バルボア(シルベスタ・スタローン)は、アドニスに、「彼女のためにいてあげればいいんだ。それが君の仕事。今日は、君の人生で最高の日だよ。それを忘れないで」という。ロッキーは病室の外の椅子で待ち、無事生まれたと聞いて部屋に入ると、アドニスと恋人ビアンカ(テッサ・トンプソン)が、幸せそうに娘を抱いている。

映画には、赤ちゃんの世話に慣れずとまどうアドニスの姿も出てくるが、そのシーンもジョーダンが意図的に挿入したものだ。

「男も家族を大切にしないといけないのだということを、若い男性の観客に見せたかったんだよ。男だって、『家族と一緒にいたい』と思わないとだめ。子供を女の子にしたのは、父と息子のパターンはこれまでにたくさんあったからだ」と、映画の北米公開当時、ジョーダンはインタビューで語っている。

男性の育児参加についての意識は、近年、次第に高まってきた。その始まりである出産にも男性がかかわるのは当然の流れといえるだろう。影響力のある男性セレブらも、そんな世の中の流れに貢献している。何はともあれ、大谷選手と真美子夫人、おめでとうございます。

猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト

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さるわたり ゆき / Yuki Saruwatari

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒業。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場リポート記事、ハリウッド事情のコラムを、『シュプール』『ハーパース バザー日本版』『バイラ』『週刊SPA!』『Movie ぴあ』『キネマ旬報』のほか、雑誌や新聞、Yahoo、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。
X:@yukisaruwatari
 

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