フジテレビ「Live News イット!」青井実アナのパワハラが致命的である理由

中居正広氏の性加害にまつわる問題が発覚してからは、番組内でも自社の不祥事を積極的に取り上げる姿勢を見せていたが、それでも数字は伸びないどころか、さらに落ちていった。視聴者のフジテレビに対する不信感が強まっている今の状況では、自社に対する批判的な検証報道をしたところで、焼け石に水だったのかもしれない。

青井氏はNHK出身のエリートアナということで「品の良さ」や「爽やかさ」を売りにするはずだったのだが、今回のパワハラ事件でそのイメージも失われてしまった。

フリーアナウンサーである彼は、局のアナウンサーと違って身分を保証されている存在ではない。このまま視聴率が上向くことがなければ、首を切られる可能性だってある。

反町理氏は番組出演を見合わせ

さらに、彼にとって間が悪いことに、今のフジテレビはすべての膿を吐き出さなければいけない状態にある。パワハラが発覚した人物をいつまでも雇っているわけにはいかない。『BSフジLIVEプライムニュース』のキャスターだった反町理氏も、過去のハラスメントを報じられ、番組出演を見合わせる事態となっている。

今回の件は、青井氏だけの問題ではなく、フジテレビ全体のガバナンスとリスク管理の甘さの問題である。特に深刻なのは、この事件が中居正広氏に関する性加害疑惑の報道対応と時期を同じくして起きたという点だ。

すでにフジテレビは、中居氏に関する重大な疑惑を十分に報じなかったとして、視聴者やメディア関係者から批判を浴びていた。忖度報道、説明責任の欠如、被害者への配慮不足。こうした問題が続いた直後に、看板報道番組のメインキャスターによるパワハラが発覚したことは、同局が報道機関として機能していないという印象を決定づけてしまった。

報道キャスターに必要なのは、立派な肩書や家柄でもなければ、過去の実績でもない。スタッフと協調し、現場に信頼され、社会に誠実な言葉を届けることだ。青井氏が再起できるかどうかはそこにかかっている。

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