「覚悟はできとるんじゃろうな」ーー野球部顧問からの叱責を苦に16歳が自死 それから13年たった今も苦しむ父親が訴えること

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あまりに手薄で、スピード感に欠ける岡山県の対応

筆者は、学校や部活での教師による不適切指導によって生徒が自死した事案について多数、取材してきた。A君が亡くなった5カ月後、大阪の市立高校バスケットボール部男子生徒が顧問の暴力やパワハラを原因に自死した事件など、痛ましい事件がいまだ後を絶たない。

A君の事件については、とくに強い疑問を抱いてきた。例えばA君の自死のひきがねとなった野球部の元顧問はA君の死後、操山高校通信制に異動し、何もなかったかのように軟式野球部の監督として活動していた。A君の死を県や学校が重くとらえていないと、筆者は感じた。

その詳細については、東洋経済オンラインの『野球部監督の叱責で16歳少年が自死、遺族の訴え なぜ彼は死を選び、両親は9年後の今も闘うか』で報じているのであわせて読んでほしい。

そうした中、不適切指導を原因とした子どもの自死について、遺族と真摯に向き合い、再発防止に取り組もうとする自治体もいくつか出てきている。

それらに比べると、A君に対する岡山県の対応は、あまりに手薄で、かつスピード感に欠けると筆者は感じている。

例えばA君の死の6年後の2018年に、岩手の県立高校バレーボール部員だった男子生徒が自死した問題。岩手県教育委員会は2022年、男性顧問を懲戒免職にし、同期間の副校長5人を戒告処分にした。

2024年5月には再発防止対策として「岩手モデル」を策定し公表。岩手モデルは冒頭で男子生徒が自死に至る一因となった学校や県教委の対応を振り返り、不適切だった対応を細かく検証。今後の注意事項を明記した。

例えば、児童生徒らから部活動担当の教職員による不適切な指導があるという申し出があった場合、内容が明らかに不自然でない限り、当該教職員を部活動指導から外すことを明記。また、教職員は岩手モデルの具体的な取り組みを理解したうえで部活動で指導する旨の「宣言書」を提出すること、部活動に関わる教職員全員が指導者研修を受けることを義務づけた。

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