≪1貫65円~≫の居酒屋ずし「や台ずし」が大人気。ロボットではなく職人が手で握るのに”神コスパ”を実現できる理由を徹底分析!

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ヨシックスでは現在も280円均一の低価格居酒屋「ニパチ」「大阪の味串カツ居酒屋これや」など10ブランドを展開しているが、さまざまな業態を傘下に持つことは、結果的に功を奏している。

ヨシックス経営企画室の松岡龍司執行役員に聞くと、同社は設立以来右肩上がりで業績を伸ばしているが、これは「場所や時代によって変化するニーズに合わせ、自社内で注力する業態を変えている」ことも大きいという。

確かに、複数業態を展開し、時代の変化に柔軟に対応する例は、ほかの外食企業でも見られる(実際すかいらーくは、コロナ禍を経て、業態のバリエーションを拡大している)。

ヨシックスでいうと、リーマンショック後の不況時に人気があった「ニパチ」の例が挙げられる。

低価格だが手作り感にこだわり、店内調理によるできたての料理を提供。ピーク時には70店舗ほどまで増えていたそうだ。しかし現在は顧客のニーズの変化などを受け撤退や業態転換が相次ぎ、9店舗となっている。

そして、それにとって代わるようにして増えたのがや台ずしだ。現在はや台ずしの店舗数がヨシックスが運営する店舗全体の9割以上を占めており、主力事業となっている。

これに建設業というアイデンティティが掛け合わさり、同社の強みを生み出している。同社ではグループ傘下の「ヨシオカ建装」で建設事業も継続しており、自社で店舗の施工、改築などを行っている。つまり業態転換にも低コストかつスピーディに対応できるのだ。

山手線の内側には「1店舗だけ」

高コスパの理由は施工面の体制だけではない。

「初期費用、店舗運営費などのコストをできるだけ抑え、原価率に還元している」(伊達富夫常務取締役)という。ここでいう初期費用とは、前述の施工費用のほか、テナント費用なども含まれる。つまり、店舗立地は郊外駅前などを狙い、家賃を抑える戦略をとっているのだ。

例えば東京都内には43店舗あるが、山手線の内側にあるのは神田駅西口町の店舗のみだ。

や台ずし一之江駅前町店。環七と新中川の間にある(撮影:尾形文繁)
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