「働くとみんな豊かになるのか?」 労働と経済の《黄金の循環》が終わりを迎えた歴史的な背景
2つ目は、科学技術の発展により製造現場の機械化・自動化が進み、工場労働者の人数が減少していくなかで、人びとの新たなニーズ・欲求に応える形でサービス業が急速に拡大していったことです。
このサービス経済化は、人びとの働き方を、時間的・空間的に拘束された集団的・均質的なものから、サービスのニーズに沿った多様なものに変化させるものでもありました。
3つ目は、1970年代の石油危機、1980年代の規制緩和政策(レーガノミックス、サッチャーリズム)を契機とした国際競争の激化に加え、1990年代以降の情報化の進展によって、経済のグローバル化が世界的に加速したことです。
デフレ・スパイラルが起きる
このグローバル競争の進展は、不平等の拡大(少数の高額所得者層に富が集中し大多数の労働者層の実質賃金は停滞する現象)や社会的排除(無業・失業が長期化し社会とのつながりを失う現象)という社会問題とともに、デフレ・スパイラルという経済問題を発生させることにもなりました。
さくら「いいことって、そんなに長くは続かないんですね」
真 由「こういう社会背景のなかで、日本では1990年代以降、『失われた30年』っていわれる経済の停滞が生じたんですね」
宇 野「最近の日本の『働き方改革』にもつながってる話だと思いました」
伊 達「そう。社会と経済と法律って、密接に結びつきながら動いてるんだよね。特に、世の中が複雑になればなるほど、どれか一つが単独で動くってことが難しくなるんだ」
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