窪田:最初からプロ野球選手を目指していたわけじゃないんですか?
古田:そうなんです。だから自分でもプロになるなんて、ちょっとびっくりですけど(笑)。
窪田:当時、猛勉強したことは、きっとプロ野球選手になってからの地頭の良さにつながっていますよね。古田さんが現役時代にしていたような駆け引きは、頭が良くないとできないんじゃないかなと思います。
古田:たしかに受験勉強によって、物を覚えたり、自分で考えたりする癖はついたかもしれません。選手の中には数字が苦手でデータを見るのも抵抗がある人もいますが、僕の場合は野村監督からID野球を叩き込まれました。データを分析し、確率で考えるようになったことで、プロの世界でも生き残れたのかなと思っています。
メガネをかけ始めたのは「先輩が怖かったから」
窪田:今や子どもの近視率は過去最高で、小中学生の2人に1人は近視になる時代です。古田さんの幼少期は、周りにメガネをかけているお子さんはいましたか?

古田:1人もいなかったと思います。今はそんなに近視が増えているんですか。僕が子どもの頃は「メガネをかけるのはカッコ悪い」と思っていたところがありました。どうしても必要な子は仕方がないでしょうが、僕自身は「できるだけメガネをかけたくないな」と。
窪田:昔はメガネをかけている子ども自体がめずらしかったですよね。
古田:僕はキャラ的にも、野球をやっていて体も大きかったので、本当はメガネをかけるのは嫌だったんです。でも大学に入って、どうしようもなくて……。というのも、先輩が怖かったんです。野球部は上下関係が厳しくて、どんなに遠くにいても先輩を見つけたら必ず挨拶をしないといけない。「目が悪くて見えませんでした」では、後から何をされるか分からない(笑)。それで入学してすぐにメガネをかけ始めたんです。
窪田:体育会系の厳しさは、まさに生きるか死ぬかの世界ですものね(笑)。視力が落ちると生存が脅かされるのは、動物の世界では当たり前のこと。それと同じ状態だったんですね。