「俺は好きな物を食べる!」膵臓がんの闘病中でもカツ丼やラーメンも 56歳で亡くなった「倉田真由美さんの夫」の人生の優先順位
――そうなんですね。
それで、そのときに医師に食べもののことは注意されたんです。だから、病院の帰りに私が、「これからは魚の中心で、ヘルシー志向のご飯にしていこうね」って言ったら、ややキレ気味に「俺は好きなものを食べる!」って言われました。
普段はキレたりしない人なんだけど、「食べたいものを食べる」っていうのだけは譲らなかったです。あのときからまったく変わってないですね。
私としては、少しでも長く生きてほしかったんです。1カ月でも、2カ月でも。でも、夫は「好きなものを食べるんだ、好きなことやるんだ」って。もう受け入れるしかないんですよ。夫の人生だから。
――ただ、倉田さんからしてみたら、叶井さんの体が心配ですよね。
そうなんですよ。もう、食べるものに関しては言いたいことがいっぱいありましたよ。ときどきは言っちゃってましたけどね。「なんでお腹痛くなるのに、そんなに食べるの?」「なんでたくさん食べちゃうの、もっと学習してよー」とか。
ただ、そう言ってからいつも後悔するんです。「この人は食べたいから食べているだけで、好きでお腹が痛くなってるわけじゃない。そんな強い言い方をしてしまって申し訳なかったなぁ」って。
病気のことを正直に娘に打ち明けた
――食べること以外では、自身の病気のことをお子さんに打ち明けるときのエピソードに驚きました。
娘が1人いるんですが、私が出張中のときに電話で「(子どもに)言ったよ」て言われて。びっくりしました。

――そのことは叶井さんのご著書『エンドロール!』にも書かれていますね。
娘には正直に話したみたいです。嘘をつきたくないからって。「父ちゃんは死んじゃうけど、お前は頑張れよ」っていう感じで。
――「死ぬのが怖くない」って叶井さんが言ったら、娘さんは「だったらよかった!」と言って部屋に行かれたんですね。
娘は夫からかわいがられて育ったので、本人の中にはいろいろあるのかもしれません。ただ、今も私のようにめそめそしたりしていません。性格が夫に似たところがあるので、そこはよかったと思います。
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