「就職氷河期世代」を貧困から救えるか…日本人の生活を左右する年金制度改正案の中身
こうした保険料の上限引き上げによって、保険料収入は4300億円から9700億円増える見通しとなっている。将来世代の年金受給水準も、0.2〜0.5%上昇すると試算している。要するに、実質的な保険料引き上げになるわけだが、一方で、高額の収入を得ている会社員にはもっと負担してもらうべきだ、とする意見も少なくない。
市場変動リスクに左右される年金財源の行方?
2025年の年金改革が、厚生労働省が提案した案の通りに国会を通過するかどうかは、今後の展開を見ないとわからないが、年金財源の将来的な不安が背景にあり、その影響は将来の日本経済にも大きく関わってくることは間違いない。とりわけ、年金改革には時間がかかるため、例えば就職氷河期世代の貧困問題救済に乗り出そうというのであれば、実はすでに待ったなしの状況と言っていいかもしれない。
就職氷河期世代は、35歳以上55歳未満とも言われているが、もっとも深刻だった2000年~2003年に就職した世代は、大卒でも就職率は60%台前半とされ、半数近くが非正規雇用の期間が長期化しているという。
さらに、前述のように世界中の国が年金の財政問題に苦しんでおり、フランスのように大改革を実施したことで大きな社会不安も招いてしまった国もある。日本の財政は今や1200兆円もの赤字を抱えており、将来不足するであろう年金資金の枯渇にどう影響してくるのか……。厚生労働省や財務省は頭を悩ませているわけだ。
公的年金の積立金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」も、今年5年に1度の資産構成の見直しを実施しているが、今回もまた外国株式、外国債券、国内株式、国内債券のそれぞれの比率を25%ずつに維持することで決まっている。
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