「ライバー刺殺」で見過ごされる"隠れた戦犯" 「都心で白昼堂々、20代女性が刺殺」「ライブ中継」は確かに強烈だが、氷山の一角かもしれない
動画配信でいえば、配信者に「顔出し」や、投げ銭を受け取ることによるリスクが、どこまで伝わっていたか。視聴者にも、あくまで画面越しのコミュニケーションがメインであり、リアルでの関係性には注意するよう、どれだけ注意喚起できていたか。
そして、トラブルが起きた際には、適切に対応できていたか。「あくまで個人間のイザコザで、企業とは無関係だ」と断じようとも、仲介役がいなければ、関係は生まれていなかったのではないか。考えれば考えるほど、プラットフォームの責任は大きい。
過去にもあった殺害事件
高田馬場の事件は「都心で白昼堂々、20代女性が刺殺され、その様子がライブ中継された」のように、センセーショナルな要素が重なったからこそ、世間の注目を集めている。しかし、多かれ少なかれ、近い構図のトラブルは起きてきたであろう。今回の刺殺はあくまで氷山の一角でしかない。
実際に2022年1月、埼玉県越谷市で、配信者の女性が、視聴者だった男に殺害される事件が起きている。それから3年もあったのだから、業界全体でなんらかの対応を取る時間はあったはずだ。わざわざ危険性をあおる必要はないが、「よい関係性を作るマニュアル」程度は用意できただろう。
しかしその間も、プラットフォーム各社は「だれでも簡単に配信できる」といった訴求を、テレビCMなどで続けてきた。その裏には「だれでもトラブルに遭いうる」現実があるが、コロナ禍の「おうち需要」などを追い風に、ユーザー増に突き進んでいたように思えてしまう。「投げ銭の手数料収入」ばかりを追ってしまい、ライバー保護を後まわしにしてはいなかったか。
配信者は、みな命がけ……とまでは言わないが、自らをさらけ出している。「リスクを背負った本人の自己責任だ」と断じるのは簡単だが、手前でどうにか食い止める手段を探すのも、プラットフォームの責任だ。今回の事件をきっかけに、ユーザーファーストの考え方になってほしいと願う。



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