症状の進行スピードには個人差があり、長期間にわたって症状が安定しているかと思うと突然悪化するなど、予測が難しいのも特徴です。指先が不自然に膨らむ「ばち指」と呼ばれる現象が表れることもあります。
●間質性肺炎の原因
間質性肺炎が明確に認識されるようになったのは、20世紀初頭頃からです。
前述したように多くは原因が明確に特定できないことから、「特発性」という医学用語をつけて呼ばれており、特発性間質性肺炎は国の指定難病になっています。
一方、一部の原因が判明するものでは、免疫システムが誤って自身を攻撃する自己免疫の異常である慢性関節リウマチや皮膚筋炎などの膠原病、アスベストやシリカなど職業上の粉塵、カビ、ペットや家畜から出るほこりの吸入など、有害物質への長期的な暴露などが知られています。新型コロナウイルス感染症にかかった後の発症も報告されています。
また、処方薬やサプリメントなどの健康食品の副作用として、薬剤性の間質性肺炎を引き起こすことがあります。
1990年代に、慢性肝炎の治療で漢方薬の小柴胡湯(しょうさいことう)を服用していた人々の間で間質性肺炎が報告され、100人以上が発症し、約20人が亡くなられたとされています。夢の分子標的治療薬として2002年当時話題になった肺がん治療薬イレッサでも、間質性肺炎の副作用が大きな社会問題になりました。
なお、特発性間質性肺炎の一種、「特発性肺線維症」は50才以上の男性喫煙者に多く見られ、喫煙も発症の危険因子と考えられています。加齢や逆流性食道炎なども危険因子として挙げられています。
どのように診断するのか
時間が貴重で、健康管理が後回しになりがちな現代社会では、咳などの症状が出ても無視してしまいたくなるかもしれません。
しかし、これらの兆候をずっと放っておくと、取り返しのつかない問題を招くおそれがあります。少なくとも「2カ月以上経っても咳が止まらない」ようであれば、一度、クリニックを受診して検査を受けるべきでしょう。
間質性肺炎の診断は、診察とさまざまな検査を組み合わせて行われます。
まず、医師は患者さんの症状や病歴を詳しく問診し、咳や息切れなどの症状の程度や、職業、生活習慣、喫煙歴などについて確認します。また呼吸の状態や肺の異常音の有無を聴診器で確認します。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら