「1年で500万円の“投げ銭”をした」30歳男性が借金してまで「女性ライバー」にハマってしまったワケ その背景に"闇落ち"させる投げ銭の仕組みがあった

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ここで筆者が実際に診た患者の例を挙げる(プライバシー保護のため、内容を一部改変)。

30歳手前の男性会社員のAさんの話だ。

公務員の父、専業主婦の母のもと、1人っ子で育った。小中高と成績はかなり優秀であったものの、空気を読めない発言が多く、友人関係などに支障をきたすことが度々あった。

大学卒業後、大手メーカーの営業職に入職したが長続きせず、何度か転職を経験した。友人関係は希薄であり、オンラインゲームなどにハマっていたが、特に大きな問題もなく経過していた。

28歳頃、暇つぶしとして休日にライブ配信をみるようになった。そこで特定の女性配信者とやりとりするようになり、平日も夕方から数時間をライブ配信視聴に費やすようになった。

投げ銭した金額は、1年で500万円以上

次第にのめり込むようになり、その女性配信者のために多額の投げ銭を開始するようになったという。ついには投げ銭をするために自身の給与だけでは賄いきれなくなり、消費者金融から借金、同居している親の金を盗む、会社の同僚から金を寸借して返さないなどの問題が表面化するようになり、当院を受診するに至った。

当院初診時までに彼が投げ銭をした金額は、約1年間で総額500万円以上になる。

彼にそこまでに至った経緯を問うと、

「自分は配信者の女性(高校生らしいが詳細は不明)に本気で恋をしている。あの配信スペースで過ごすことは自分にとっては生きがいである」

「周りの人たちは自分が彼女に騙されていると言うが、そんなことはない。LINEでよく個人的にやりとりをするが、彼女は自分のことをとても頼りにしてくれており、自分たちは本気でわかり合っている。決して金だけの関係ではない」

そう主張して譲らなかった。心理検査を行ったところ、彼には明確な自閉症スペクトラム障害の傾向があった。彼はその後も同様の行動を止めることなく、通院も途切れてしまった。

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