「1年で500万円の“投げ銭”をした」30歳男性が借金してまで「女性ライバー」にハマってしまったワケ その背景に"闇落ち"させる投げ銭の仕組みがあった

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実際のところ、ライブ配信にて投げ銭をする理由には、この例のように「配信者に気に入られたい」「配信スペース内で周囲に認められたい」などの他人から承認されたい欲求がかなり多くを占めている(図4参照)。

図4
図4(筆者作成)

Aさんのように潜在的な原因がある場合も少なくなく、そこにつけ込もうとする人もいるかもしれない。

ライブ配信にハマりやすい背景

筆者は、ライブ配信の特徴と問題点を以下のように考えている。

1:規制が甘く、未成年者でも参入が容易であること。

未成年者は利用に保護者の許可が必要なアプリも多いが、罰則もなく、どれだけ厳密に守られているかは甚だ疑問だ(図5参照)。判断能力の低い未成年者がトラブルに巻き込まれたり、親のクレジットカードを無断で使用したりするなどのケースが目立つので、保護者には注意を喚起しておきたい。

図5
図5(筆者作成)

2:成人がハマる場合は、配信者への恋愛感情が伴うことが多い。

年配者の利用率は確かに少ないが、恋愛感情をこじらせた結果、莫大な金額の投げ銭(毎月10万円以上)をしてしまうケースが目立つ。まさに電影ホスト、電影キャバクラの世界となっている。

3:背景に発達障害などを抱えており、現実の世界では生きにくい人々にも参加しやすい場所となっている。

4:さまざまな理由により社会的に孤立している人々にとって癒やしの場所となっている側面も否定はできない。

背景に、発達障害等がある人や社会的に孤立傾向にある人、さらに現実での恋愛機会に乏しい人は過剰にハマってしまうリスクが高いため、利用に際しては十分に注意をするべきであることを覚えておいてほしい。

西村 光太郎 精神科医/久里浜医療センター 精神科病棟長

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にしむら こうたろう / Kotaro Nishimura

早稲田大学商学部から議員秘書、塾講師などを経て2012年東京大学医学部卒業。四国中央病院等での研修後17 年より久里浜医療センター勤務。2022年より同精神科医長。神奈川県立保健福祉大学非常勤講師兼任。アルコール、ギャンブル、インターネット・ゲーム依存症治療が専門

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