高まる「7・20衆参ダブル選挙」の現実味、商品券配布で窮地の石破首相が打って出る?

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問題の首相公邸での会合は3月3日だが、朝日新聞が特ダネとして報じたのは10日後の13日夜。問題の大きさに気づいた石破首相は、急遽同日午後11時20分過ぎから首相公邸で取材に応じ、「違法性はまったくない」「初当選までのご家族のご苦労感謝するためのお土産」などと、あえて笑顔も交えて釈明に努めた。

記者団からは「政治資金規正法に抵触しないか」との質問が相次いだが、「政治活動とは関係ない」「公職選挙法にも政治資金規正法にも抵触しない」と繰り返し釈明。ただ、政治資金規正法違反の可能性を指摘する質問には「第何条のどの条文か」「そうでないと正確に答えられない」などと問い詰める場面も多かった。ニュース映像などでその様子を見た自民党幹部は「余りに大人げない。逆効果になりかねない」との危惧を隠さなかった。

さらに石破首相が「違法性はない」と繰り返したことについても、多くの自民党幹部が「国民はそんな説明には怒るだけ」と顔をしかめる。石破首相との親交を公言してきた公明党の斉藤鉄夫代表も、翌14日の記者会見で「耳を疑った。国民の理解を得られないような行為は厳に慎むべきだ。国民の感覚と大きくずれている」と厳しく批判した。

一方、野党側でも石破首相との親密さで知られる立憲民主党の野田代表が記者会見で「(石破首相は)政治改革に熱心な政治家の筆頭格で、お金の感覚もきちっとした人だろうと思っていたので、非常にがっかりした。クリーンな政治家だと思っていた石破さんですら、こういうことを日常的にやっていたとすれば『これぞ自民党なのだ』と改めて思い知った」と、厳しい口調で批判した。

野党につきまとう不安の影

政局の大きな節目となる年度末が2週間後に迫る中、与党側は「経済への悪影響を避けるためにも、何としても予算の年度内成立が必要」(自民党・国会対策担当者)との立場から、①3月28日に参議院での予算案可決、②3月31日の衆議院回付・再議決で予算成立、との日程を描く。

対する野党側は「石破首相の『10万円商品券』問題の徹底解明のためには、衆参予算委員会での質疑だけでなく、政治倫理審査会出席などが必要」(立憲民主党・国対担当者)とし、「結果的に予算の年度内成立が実現しなくても、それは与党の責任」(国民民主党幹部)と突き放す。

ただ、立憲民主党の内部からは「どのような理屈をつけても、国民が切望する経済回復に冷や水を浴びせるような対応を野党側が取れば、国民的な批判は避けられない」(若手議員)との不安もつきまとう。

一連の動きの中で今後のカギを握るのが、立憲民主党の安住淳・衆院予算委員長だ。安住氏周辺からは「できれば、年度内成立で円満決着させたい」との声も漏れてくる。

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