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スポーツが進化を牽引した“カーボン” 〜トレカ(R) 高強度・高弾性の両立を追う歴史〜

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カーボンはハイテク素材の代名詞。多くの人がその存在と用途をある程度はご存知だろう。しかしその誕生から40年余り、カーボンそのものはもちろん、複合材として組み合わせる樹脂までもが極限まで進化し、その恩恵が多様な産業で活かされていることをご存知だろうか。 航空宇宙部門、エコカー関連の水素タンクなどの産業用途、そして注目のスポーツジャンルなど、あらゆるところで私たちはカーボンに支えられている。
今回、カーボンの代表的なブランド、東レのトレカ(R)に注目。高性能ゆえの用途の広がりなどについて、くわしく聞いた。

ツール・ド・フランス参加バイクの
90%以上が採用する東レの炭素繊維技術

毎年7月にフランスとその周辺国で開催される自転車レースの最高峰「ツール・ド・フランス」。高低差のある全長3,500キロメートルに挑むのは、世界各国からえりすぐられたトップライダーたち。今年はイギリスのクリス・フルームが自身2度目となる総合優勝と初の山岳賞獲得を果たし、惜しみない歓声のなか幕を閉じた。

アスリートと共にレースの主役を担うのがロードバイク。レースには、それぞれの自転車ブランドの最新鋭の技術が結集されたバイクが提供されることから、ロードバイク自体を楽しみにするファンも多い。自転車ブランドにとって「ツール・ド・フランス」とは、その性能やデザインを世に知らしめる格好の場でもあるわけだ。

PINARELLO DOGMA F8

このように各社しのぎを削るロードバイクだが、それぞれのバイクに「ある特徴」が共通することはあまり知られていない。実は「ツール・ド・フランス」に参加しているバイクの「90%以上」が東レの炭素繊維を車体に用いているのだ。かつてはアルミニウムによる車体が一般的だったロードバイク。だがこの10年でトレンドは大きく様変わりを果たし、各社こぞって東レの炭素繊維を導入するようになっている。

1926年の創業以来、合成繊維・合成樹脂をはじめとする化学製品や情報関連素材を取り扱う化学メーカーとして、数々のイノベーティブな製品を世に送り出してきた東レ。
彼らが次なる事業の柱として、市場の創造と開拓に力を入れてきたのがこの炭素繊維だ。東レでは炭素繊維複合材料事業を「戦略的拡大事業」と位置づけ、2020年までに3000億円の売上を目標にしている。その進化の牽引役となったのが、スポーツの分野だ。

進化した炭素繊維と、スポーツ用途の全貌を担当者に取材した!

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