最先端の自動運転バス「営業運転」まだある課題 バス待ち客見分けられるか、飛び出し対策は?

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その一般道における自動運転であるが、JR大甕駅周辺の一般道約2kmの区間でレベル2自動運転バスの実証実験も行われている。これは国の「デジタルライフライン全国総合整備計画」に基づく取り組みで、茨城交通も運行主体として参加している。

レベル2とは、アクセルとブレーキ操作による加速・減速やハンドル操作をシステムが担うが、あくまでドライバーが主体であり、ドライバーはつねにハンドルを握って、システムでは対応困難な場合にはハンドル操作することが求められる。一般道でのレベル4自動運転を実現するためには、レベル2自動運転の実証実験は避けて通れない。

小型バスで「レベル2」実証実験も

2月27日に行われた関係者向け視察会で試乗する機会を得た。ひたちBRTは中型バスを使っているが、こちらは小型バス。車両だけでなく、交差点や横断歩道など道路側にもカメラを設置し、歩行者や対向車両などの情報を車両に通知する。車両から見えない範囲の状況を「先読み情報」として入手できるほか、車両ごとにカメラやセンサーを設置するよりも道路側に設置できれば導入コストの抑制にもつながる。

自動運転 レベル2 小型バス
大甕駅周辺で行われているレベル2自動運転実証実験の小型バス(記者撮影)
【もう一度写真を見る】ひたちBRTで行われている、中型バスでは初の「レベル4自動運転」。センサーやカメラで周辺の歩行者や車を検知しながら走る

ひたちBRTと違って、歩道に人の姿があっても減速することはない。「ガードレールで歩道と車道が隔てられているから人が車道側に飛び出す心配がない」と担当者が説明する。システムの違いというよりも設定条件の違いなのだろう。

今回の試乗会では「ルートの96〜97%は自動運転システムで走ることができた。100%に近づけることが目標」だという。ルート上で道路工事が行われている箇所があり、自動運転では対応できず手動運転に切り替える場面があった。それ以外でも渋滞で多くの車両が接近していたり、緊急車両がやってきたりといった場合は手動運転になる。

一般道でのレベル4自動運転の実現には解決すべきさまざまな課題がある。ドライバー不足の解消という未来の実現は相当先になりそうだ。しかし、今回の試乗で、その道筋は見えた気がした。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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