最先端の自動運転バス「営業運転」まだある課題 バス待ち客見分けられるか、飛び出し対策は?

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平日の昼間ということもあってか、横断歩道をわたる人はいなかった。交差点で近づく車もなかった。しかし、歩道では散歩する人がたくさんいた。

自動運転システムが歩道上を歩く人の姿を検知するとバスは時速15km程度まで減速した。「車道と歩道が縁石で仕切られている区間は、人が車道に飛び出してくる可能性がある」(みちのりHDの担当者)。そのため、車道の端から2m以内に歩行者がいる場合は、人の飛び出しを回避するために減速する。時速15kmとは人がバスの前に飛び出してきても衝突を回避できる速度だという。人を追い越すとバスは再びスピードを上げる。

気になったのは、バスが人の姿を検知するたびに減速することだ。車道と歩道の間が高い柵で隔てられていて、普通の人ならまず飛び出さないような状況でも減速している。どうやらかなり安全寄りの設計になっているようだ。ただ、歩行者の姿を検知するたびに徐行しているため、のろのろ運転が続いているようにも感じられる。

自動運転バス 車内モニター
車内のモニターに表示された情報。歩行者を検知している(記者撮影)

全部のバス停に停止し7分遅れ

また、途中のバス停では、車内の降車ボタンが押されず、停留所でバスを待っている客がいないにもかかわらず、バスは停車した。

普通の路線バスならこういう場合は運転士が「通過します」とアナウンスして停留所を通り過ぎるはずだ。しかし、「専用道区間ではすべてのバス停に停止して乗降扱いを行う」という設定にしている。その理由は「バス停の周辺に人がいる場合、バス待ちなのか散歩の人なのか判断が難しい」からだという。手動運転ならバス停にいる人がアイコンタクトで運転士に「乗りたい」という意思表示をすることができるが、自動運転ではそんな「阿吽の呼吸」がない。

途中の大甕駅西口は10時11分に到着した。ダイヤ上では10時07分着なので約4分遅れだ。その先もすべてのバス停に停車し、歩行者を検知するとスピードを落とす。結局、自動運転区間が終了する南部図書館に到着したのは10時23分。予定では10時16分に到着することになっている。4分の遅れは7分遅れに広がっていた。

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