痛い、ムカムカする、食欲がない…名医が解説する心当たりがあったら疑いたい「胃の病気」とは

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とても、重要な役割を果たしている自律神経ですが、やはり寄る年波には逆らえず、加齢によって乱れやすくなるため、胃が十分に膨らみづらくなったり胃液の分泌が滞ったりして、不調を起こすのです。

慢性的な不調はストレス由来かも

さらに、ストレスも自律神経に悪影響を及ぼします。

悩みごとがあると胃が痛んだり、食欲不振に陥ったりという経験は誰しもあるでしょう。不安やストレスは自律神経を乱れさせる大きな要因になり、胃の働きを悪化させます。したがって、あれこれ考えながら食事をするのはとても悪い習慣ということになるのです。

考えごとがあっても食事どきは忘れて、料理を味わいながら楽しく食事することを意識しましょう。

ストレスが自律神経に与える影響が大きくなると、慢性的に胃の不調をもたらすことにもつながります。

胃の具合が悪いといって来院し、検査をしてもこれといった病気が見つからない、というケースは少なくありません。病気ではないのに胃の不調が続くようなら、機能性ディスペプシアの可能性があります。

食事を始めてすぐにお腹いっぱいになってしまう早期膨満感や、食後の胃もたれ、胃痛、みぞおちが焼けるような感じなどの症状が半年以上続き、週に2~3度の頻度で起こる場合、機能性ディスペプシアと診断します。

胃の不調が頻繁に起こると、「食べる」ことに恐怖心が芽生えたり、気分の落ち込みをともなうこともあります。機能性ディスペプシアという病名はあまり聞き慣れないかもしれませんが、近年患者数が増えています。

症状を引き起こす原因として、「胃の働きが悪くて、十二指腸に送られないこと」「胃酸過多」「胃の知覚過敏」「ストレス」などが挙げられますが、どれか1つだけの原因で機能性ディスペプシアになるわけではなく、さまざまな原因が複合的に影響していると考えられます。

治療は主に内服薬で不調を改善します。内服薬として最初に使われるのは、①胃酸が出るのを抑える薬(プロトンポンプ阻害薬、ヒスタミンH2受容体拮抗薬)、②胃の動きを良くする薬(アコチアミド)、③漢方薬(六君子湯)の3種類です。

胃酸に対し敏感に反応することで痛みが出る場合には、プロトンポンプ阻害薬、ヒスタミンH2受容体拮抗薬により、胃酸が出るのを抑えることによって、症状を改善することができます。

また、胃の動きが悪くなって食べ物が胃に長時間残り、胃もたれが出たり、十分な量の食事がとれなくなったりする場合には、アコチアミドにより胃の動きをよくすることで症状を改善します。

漢方薬である六君子湯は胃の動きをよくするだけではなく、精神的な不安も改善する作用があります。

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