日本郵政「すっぴん動画炎上」即削除が妥当なワケ 「見られる広告」と「不適切な広告」は何が違う?

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事前チェックを怠らないことはもちろんだが、属人化しないようにマニュアル化をして、ネガティブチェックを網羅的に行うことが重要だ。

日本郵政
日本郵政は動画について謝罪し、削除したことを報告した(画像:日本郵政公式Xより)

“炎上対応”に必要なこと

ただし、それでも現在においては炎上を回避することはできない。 ターゲットとなる当事者の人々や、SNSユーザー、関連団体など、チェックしてもらう体制を作ることも重要になる。

政府広報動画は、オーバードーズ当事者の声を十分に把握しえなかったことが炎上の原因なのだが、啓発を行う官庁や政府の人々が彼らの気持ちを想像でくみ取ることは困難だ。

政府広報動画
柔らかく周知したいという狙いだったが……(画像:政府広報オンラインより)

炎上が続くと、「炎上を恐れると何もできなくなる」「いっそ(広告・広報)活動自体をやめてしまったほうがいいのではないか」という声も出てくるが、そうではない。

筆者は、現在の広告・広報活動を語るときに、車の運転を例に出すことが多い。

現在は事故が起きやすい状況になっているが、車に乗るのをやめるという選択が必ずしも賢明であるとは限らない。

環境が変わったため、ブレーキを踏まなければならない機会も増えてはいるが、それだけでは車は前に進むことができない。重要なのは、アクセルとブレーキの使い方を学び直して、安全運転ができるようになることだ。

大半の人が自動車の免許を取得できて、安全運転ができるのと同じように、正しいやり方を学び、それをマスターすれば、安全に広告・広報活動をすることは、十分に可能であると思う。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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