「トライアルの西友買収」でスーパーが激動する訳 九州発のディスカウント大手が狙っていること
買収に名乗りをあげていたとされるイオンやPPIH(ドン・キホーテ)は首都圏に一定の既存店舗網を持っており、西友は魅力的ではあっても、首都圏での基盤が薄いトライアルほど切実な意味を持つわけではない。
九州出身のトライアルは、全国展開こそしているものの、東京都内に店舗がなく、神奈川県にも1店舗しかないため、首都圏全体でもほとんど存在感がない。このため、西友が持つ店舗網との補完性はトライアルにとって最も大きな価値を持つといえる。

首都圏進出は死活問題
日本全体の人口が減少し続ける状況下で、首都圏でのシェア獲得は中長期的な事業継続性に大きな影響がある。そしてご存じのとおり、人口減少のペースは全国一律ではなく、大都市圏ほど緩やかで、大都市から遠い地域ほど加速する傾向がある。
次の図は将来人口推計(社会保障・人口問題研究所)を基に全国と首都圏の人口予測を示すとともに、トライアルが現在5店舗以上展開している県を集計したものだ。これを見ると、首都圏は全国平均とは異なる推移を示し、2050年でも当初の95%程度の人口(≒小売市場規模)を保つことがわかるだろう。一方、首都圏にほとんど基盤を持たないトライアルの既存店市場は全国平均をも下回って8割程度まで縮小する見込みだ。
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