激甚災害「車からの人命救出」難しさのリアル 警察・消防など「総勢70人」大規模訓練の現場

✎ 1〜 ✎ 62 ✎ 63 ✎ 64 ✎ 65
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

また、救出する間口が広いフロントガラスを破壊する工程では、外から大きく砕くのではなく、ガラスを養生テープで保護した状態で、ドリルで1カ所に穴を開け、そこから特殊なノコギリで一気に切っていくというプロセスにも驚いた。

救助のため、フロントガラスを切る作業の様子(筆者撮影)
救助のため、フロントガラスを切る作業の様子(筆者撮影)

サイドガラスを破壊するため、隊員が特殊なハンマーなどを使って強い力で叩いても、なかなか割れない場合もあった。クルマを解体・破壊するのは、大変なことなのだ。

こうした解体救助の様子を見ながら、クルマの安全性の評価指標として、現在使われている予防安全性能、衝突安全性能、事故自動緊急通報に加えて、衝突時の救出に対する性能についても考えるべきではないか、という感想を持った。

必要とされる「リアルな視点」

JARIの代表理事・研究所長の鎌田実氏は「最近でも(関東圏内で)道路陥没事故や大規模な火災など、全国でさまざまな事故や災害が起こっている。そうした際の人命救助に対して、(警察や消防が連携するための)日頃からの訓練が大事だ」と、JARIが参加するこうした救助訓練の意義を強調した。

筆者としては、国が議論している防災庁においても、「クルマ×災害」について、今回の訓練に見られるようなリアルな視点での議論が必要だと感じる。

東洋経済オンライン「自動車最前線」は、自動車にまつわるホットなニュースをタイムリーに配信! 記事一覧はこちら

今年1月から始まった内閣官房防災庁設置準備室の「防災庁設置準備アドバイザー会議」では、ぜひ警察・消防・防衛省・日本自動車工業会・JARI・NASVAなどによる共通認識の確立と、それに関連したデータ統合システムの構築の議論を進めていただきたい。

今回の取材で「クルマ×災害」の厳しい現実を目の当たりにして、そう強く思う。

【写真】目にしてわかる大規模災害訓練の大切さ
桃田 健史 ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事