ホイスト救助とは、航空救助装置でウインチの一種である「ホイスト」の先端にフックのついたワイヤーを伸長して行うことを指す。
無事に救出された様子を見て、胸が熱くなった。まるで映画の一幕のような、非現実的な状況に感じたのだ。
少し時間を置いて、改めて周囲の様子を見ると、「これが災害時のリアルな救出現場になるのだ」と、我にかえった。
次の訓練は「悪路試験場」で行われた。ここでは、山間部を走る県道で土石流が発生し、走行中の車両、複数台が巻き込まれたという想定だ。

驚いたのは、実際にクルマが地中に埋まっていたことだ。その隣には、消防車両がウインチで引き上げた、前部が大きく損傷した事故車両もある。実に本格的な訓練である。
地中に埋まったクルマからの乗員救出では、最初に小型重機で土を掘り起こし、隊員が人力で懸命な作業を行う。要救助者の搬送に、埼玉県警察警備課航空隊が応援に駆けつけた。
もしも、自分が走行中にこうした場面に巻き込まれてしまったら……。土石流の威力と怖さを実感する、緊張感が極めて高い現場であった。
車両はNASVAが提供した最新車両
午後は、場所を管理棟に移しての座学。近年、普及が進んでいるハイブリッド車やEV等の車両特性を踏まえた緊急時の車両解体救助について、隊員とともに学んだ。
その後、実際の車両解体訓練を見た。用意された車両は4台。横に並んだ順に左から、トヨタ「クラウン クロスオーバー」、ホンダ「ZR-V」、レクサス「NX350h」、そしてトヨタ「アルファード」だ。それぞれが車両前面から側面にかけて、大きく損傷している。

これらは、独立行政法人 自動車事故対策機構(通称:NASVA)が提供したもの。自動車の安全性能試験である、自動車アセスメントの衝突安全性能試験で使用したクルマだ。
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