激甚災害「車からの人命救出」難しさのリアル 警察・消防など「総勢70人」大規模訓練の現場

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ホイスト救助とは、航空救助装置でウインチの一種である「ホイスト」の先端にフックのついたワイヤーを伸長して行うことを指す。

無事に救出された様子を見て、胸が熱くなった。まるで映画の一幕のような、非現実的な状況に感じたのだ。

少し時間を置いて、改めて周囲の様子を見ると、「これが災害時のリアルな救出現場になるのだ」と、我にかえった。

次の訓練は「悪路試験場」で行われた。ここでは、山間部を走る県道で土石流が発生し、走行中の車両、複数台が巻き込まれたという想定だ。

土石流の発生を想定した救助訓練では土に埋まった車体を掘り起こした(筆者撮影)
土石流の発生を想定した救助訓練では土に埋まった車体を掘り起こした(筆者撮影)

驚いたのは、実際にクルマが地中に埋まっていたことだ。その隣には、消防車両がウインチで引き上げた、前部が大きく損傷した事故車両もある。実に本格的な訓練である。

地中に埋まったクルマからの乗員救出では、最初に小型重機で土を掘り起こし、隊員が人力で懸命な作業を行う。要救助者の搬送に、埼玉県警察警備課航空隊が応援に駆けつけた。

もしも、自分が走行中にこうした場面に巻き込まれてしまったら……。土石流の威力と怖さを実感する、緊張感が極めて高い現場であった。

車両はNASVAが提供した最新車両

午後は、場所を管理棟に移しての座学。近年、普及が進んでいるハイブリッド車やEV等の車両特性を踏まえた緊急時の車両解体救助について、隊員とともに学んだ。

その後、実際の車両解体訓練を見た。用意された車両は4台。横に並んだ順に左から、トヨタ「クラウン クロスオーバー」、ホンダ「ZR-V」、レクサス「NX350h」、そしてトヨタ「アルファード」だ。それぞれが車両前面から側面にかけて、大きく損傷している。

JNCAP自動車アセスメントで用いられた衝突試験車両(筆者撮影)
JNCAP自動車アセスメントで用いられた衝突試験車両(筆者撮影)

これらは、独立行政法人 自動車事故対策機構(通称:NASVA)が提供したもの。自動車の安全性能試験である、自動車アセスメントの衝突安全性能試験で使用したクルマだ。

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