激甚災害「車からの人命救出」難しさのリアル 警察・消防など「総勢70人」大規模訓練の現場

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古くからのクルマファンなら、「谷田部(やたべ)のテストコース」を知っているだろう。自動車メーカーによる国際記録への挑戦、自動車雑誌による新型車やチューニングカーのテストの聖地で、それが移転したのが城里テストセンターである。

最高速度テストなどが行われる全周5.5kmの高速周回路(筆者撮影)
最高速度テストなどが行われる全周5.5kmの高速周回路(筆者撮影)

その城里テストセンターは、広大な総敷地面積約302万平米の中に、全周5.5kmの高速周回路、悪路試験場などがある。2022年には、世界初となるADAS(先進運転支援システム)試験場も完成。さまざまな走行テストに、24時間365日体制で対応している。

JARI関係者によれば、国内外の自動車メーカーや自動車部品メーカーなどが、各種法規への対応を念頭に、自社テストコースでは実施が難しい秘匿性の高いテストを行っているという。各試験場の稼働率は、かなり高い。

中洲に取り残された人の救出

説明が長くなったが、今回の本題である大規模訓練の模様をお伝えしよう。まずは、「調整池」を使って行われた、豪雨災害を想定した救助だ。

シチュエーションは、関東地方に接近する台風の影響で茨城県に猛烈な雨が降り、県の北部から南部にかけて線状降水帯が発生。河川の増水により、中洲に取り残された者から救助要請が入った、というものである。

JARIの「調整池」で実施されたヘリコプターによる救助活動の様子(筆者撮影)
JARIの「調整池」で実施されたヘリコプターによる救助活動の様子(筆者撮影)

はじめに茨城県警察の広域緊急援助隊が出動。徒歩で避難中に土石流に巻き込まれ、河川の中央部にできた中洲に取り残された人の救出にあたる。

援助隊は救命ボートでの接近を試みるも、流出した土砂等が堆積して接近が困難だと判断し、ロープを使用して中洲へ向かう。そこに、茨城県警察航空隊のヘリコプター「ひばり」が近づき救助した。

こうしたシーンでは、ヘリコプターによる地上への強い風「ダウンウォッシュ」が発生する。そこで地上30m付近でホバリングし、「ホイスト救助」を実施した。

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