「ChatGPTが東大入試解いてみた」驚く結果の中身 新しい「o3」が登場、人間はどう向き合うか

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まず前提として、ChatGPTはこの問題を解けなかったわけではなく、間違った答えを導き出しており、それを堂々と説明してきています。

しかし細部を詳しく読んでみると、そもそもの設定把握が間違っていたり、曖昧な数学的な議論を展開していて、これを試験本番の場で答案に書いたとしても1点にもならないだろう、という内容でした。

最終的に出された解答に関しても「n=1,2,3,4で正しいから、これ以降でも正しいはずだ!」と、具体的な場合の議論に終止しており、一般的な場合について成り立つことを数学的に証明している解答ではありませんでした。

ただ、ChatGPTの語り口があまりにも堂々としているため、批判的な数学的な思考を持って解答を読まないと、提示された解答のどの部分が間違っているかを見つけることができず、提示された解答を正しいものだと思い込んでしまう可能性が高いです。

ChatGPTひいては、一般のLLM (大規模言語モデル)を利用するときに最も注意しなければならないのは、このように批判的思考を持って提示された解答を検証できるか?という点です。

そして、これこそが現代でも人間が数学を学ぶ意義につながる、と私は考えています。

AIが出してくれる答えを以て、何をするか

今までの時代において、数学教育のある種の目標は「問題に対して、自分で正しい答えを導き出すこと」にありましたが、これからの時代においては、それは変容を見せることでしょう。

つまり、「一定の答えはAIが出してくれる。その答えを以て、何をするのか」が問われている時代になりつつあるということです。

入試問題をChatGPTに解かせてみただけでも、人間がAIに及ぶことのない分野が存在していることは明らかです。しかもAIの進化の速度に人間が追いつくことはありません。もしかすると来年度の東大入試は、ChatGPTが優に満点の解答を出すようになっているかもしれません。

しかし、そんな時代だからこそ、与えられた物事を愚直に受け入れるのではなく、自らで逐一検証し、何が正しく何が間違っているかを見極める力が大切になるのです。

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