「NHK辞めた敏腕P」フジテレビに転職した"動機" NHKでは報道記者も経験、なぜ民放のドラマPに?
――社会性のあるものをエンターテインメントにする傾向がこの近年、ドラマの世界でも増えた気がします。フジテレビですと、放送中の救難救助の現場を描いた『119エマージェンシーコール』(2025年)や、カンテレ制作ですが、報道の闇を書いた『エルピス-希望、あるいは災い-』(2022年)などがあります。北野さんは先ほど、ただのホームドラマを作っている場合ではない時代であるとおっしゃっていて、そういう流れがほかの番組にもあるのではないかと感じます。なぜ今そういうものが求められているのでしょうか。
「社会派ドラマは数字を取らないと言われていますし、求められているかどうかは正直、わからないです。僕自身は記者出身ということもあるのかもしれませんが、ドラマを企画するときに今作る意義があるのか、社会にどのような影響を与える可能性があるのか、この企画は今の世の中にとって必要なものなのかをつねに考えます」
――恋愛ものが減ったぶん、社会派ドラマも作られるようになった気がします。現在放送中の日曜劇場『御上先生』(TBS)も、「The personal is political」を打ち出しています。北野さんの『フェイクニュース』は社会派ドラマの先駆けかもしれません。
「これからは地上波の民放ドラマで、エンタメの枠組みの中で社会を描くことに挑戦していきたいと思っています。海外ドラマを見ていると、社会性のない作品のほうがめずらしいと感じるので」

なぜフジテレビに転職したのか
――「楽しくなければテレビじゃない」と打ち出していたフジテレビに、北野さんはなぜ転職されたのでしょうか。フジテレビを変えようと思ったのでしょうか。
「単純に連ドラを作る機会を増やしたいと思ったからです。NHKには本当に感謝していて、沖縄での記者経験は何よりも自分のものづくりのベースになっています。そのうえで、20代のときに脚本家の安達奈緒子さんとドラマをゼロから立ち上げて演出も経験させてもらい、東京のドラマ部に来ても、脚本家の野木亜紀子さんと『フェイクニュース』をゼロから作るチャンスをいただき、プロデューサーとしてもデビューさせてもらいました」
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