TSMCのアメリカ増資は「最良の選択」になる理由 出資も課税もなし、技術流出はリスクだが最大の勝者に
政治的な圧力は避けられないが、企業家の最も重要な能力は、困難な状況の中で解決策を見出すことにある。どの企業も、制約のある環境や定められた戦場の中で、最大の利益を追求しなければならない。
現在の状況においては、限られた条件の中で最大のチャンスを生み出し、今後5年から10年の「アメリカンドリーム」を実現することが求められる。
「誇張」を実現させたTSMC
TSMCのアメリカ投資拡大のニュースを見て、1997年を思い出す人も多いだろう。当時、TSMCは台湾の台南市、高雄市を中心とする南部科学工業園区に10年で4000億元(約1兆8000億円)を投資すると発表。UMCも5000億元(約2兆2500億円)の投資を発表した。天文学的な数字に誰もが驚き、当時の台湾プラスチック集団の王永慶会長は「誇張だ」とまで言った。
しかし、振り返ってみれば、TSMCは当時「誇張だ」と言われた投資を実行し、今やその額をはるかに上回る。これは、世界の半導体産業の成長が、過去の常識を超えるものであることを示している。今回のTSMCの1000億ドル規模のアメリカ投資も、同じような歴史の流れにあるといえる。
トランプ大統領が出した難題に対し、各国各企業は最終的に答えを提出しなければならない。今回TSMCが提示した解決策は、現時点で考えうる最良の選択肢だろう。TSMCの経営陣が、この困難な局面を乗り越え、未来への道を切り開いていくことを期待したい。
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