TSMCのアメリカ増資は「最良の選択」になる理由 出資も課税もなし、技術流出はリスクだが最大の勝者に

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TSMCのみで台湾の安全を確保できると考えるのは、最も危険な怠慢な発想と言えるだろう。

TSMCは「台湾のTSMC」から「世界のTSMC」へと進化することになる。台湾がこれを阻止することはできず、TSMCを台湾だけに閉じ込めることも現実的ではない。この事実を多くの人がまだ理解していないが、やがてそれは明確になっていくだろう。

◆ポイント5:「アメリカを受け入れ」によるコスト増加は大きなリスクなのか?
→発想を変え、最大のチャンスを生み出す

心の準備を台湾電子業界は終えている

最後に多くの人が激しく批判しているであろうトランプ大統領の政策についてだ。トランプ1.0では、多くの企業を「中国から離れさせる」ことが主な方針だった。それがトランプ2.0では、「アメリカを受け入れろ」と強制する形に変わってきた。1.0は台湾にとって有利だったが、2.0は大きな挑戦となる。

このように考えるのは当然であり、事実でもある。しかし、重要なのは変化が不可避であり、心構えを変えなければならないという点だ。

実際、多くの台湾の電子業界の経営者は、すでに心の準備を終えている。しかし、市場はまだその変化を消化できておらず、将来の不確実性を心配し、TSMCのさらなるアメリカ投資を悲観的に捉えている。また、台湾の主要電子企業グループがテキサスに工場を移転することも、大きな悪材料と見なされた。

しかし、企業の経営者にとって最も重要なのは、どこにビジネスチャンスがあるかだ。アメリカに行かなければ、チャンスを失ってしまうだろう。

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