西友を「トライアルが買収」何がそんなに凄いのか ジャイキリだが、シナジーしかない買収だ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

2024年、四国に進出したことによって全地方への展開を果たしているが、都道府県別で見ると東京には店舗が1つもない。

逆に西友は、同社の株式を保有するKKRが北海道と九州の事業を他社に譲渡したため、関東近郊圏が出店の中心になっている。現在の店舗数242のうち、約3分の1にあたる74店舗が東京都に立地しているのだ。

しかも、かつての総合スーパーマーケットの戦略を色濃く残す形で、駅前の一等地に店舗を持つパターンも多い。

トライアル側からすれば、西友を買収するとこれまで手に入らなかった首都圏の立地を一気に手にすることができ、グループ全体で見れば名実ともに「ナショナルチェーン」が完成する、というわけだ。

一方、幾度もの買収を経て世の中のイメージ的には「調子が悪い」とされがちな西友だが、ここ数年で調子が戻ってきており、特に2023年12月期の営業利益率は3.9%と、他のスーパーマーケットの利益率の平均(だいたい2%ほど)を大きく超えている。トライアルにとっては、こうした高利益率のノウハウを共有できるメリットもあったのだろう。

また、こうした理由以外にも、全国にグループが広がることによる物流効率の向上や人材育成の強化などが両社のシナジーとして挙げられ、グループ全体にとってメリットが大きいことから買収の合意に至ったのだろう。

今回の買収でGMS業界はどう変容するか?

では、今回のトライアルの西友買収によって総合スーパーマーケット業界はどのように変容していくだろうか。

私が感じているのは、GMS三国志が幕を開けるのではないか、ということだ。

現在、総合スーパーの世界で全国にシェアを広げているのは、ドン・キホーテを運営するPPIH(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)と、イオン・イオンスタイルを運営するイオン(正確にはイオンリテールやイオン北海道など)だ。

もはや日本人に欠かせない商業施設となったイオン(撮影:今井康一)

ドンキについてはディスカウントストアをイメージする人もいるかもしれないが、2000年代中頃から長崎屋やユニー等のGMSを子会社化し、主に「MEGAドンキ」業態で総合スーパーとして店舗を作っている。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事